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考えた末、待つのを止めた。
「ごめんね」
泉はゆうたの服、胸元の合わせに手をかけた。
「!」
服をずらすと、右の鎖骨部分に小さな痕があった。
「……残ってる」
泉が蛇の姿で噛みついた痕。
傷は塞がっていたが、まだ皮膚の色は戻っていない。
まるで戒めに見える。
指でそっと撫でた。
パチッとゆうたが目を開けた。
泉と目が合う。
「「あ」」
泉に気づいたゆうたの目にみるみるうちに涙が溜まってく。
「………う…」
「っえ、ちょっと」
「ぅわあぁ――ん!」
ゆうたが泣き出した。
「な、何!?」
傍で寝ていたスモモが飛び起きた。
「わぁ―ん」
ゆうたがスモモにしがみつく。
「ゆうた?どうしたの!?………泉さん?」
スモモが泉に気づき、キョトンとする。
お互い動けずにいると、泉の服が後ろから強く引っ張られた。
振り向くとスモモによく似た、スモモより少し歳上の、気の強そうな少女がいた。
「このガギ!何処の子だ!」
乱暴な言葉が合わない程、美しく、凛とした声。
スモモの姉、あんずだった。
「じゃあ、噛んでないんですね?」
「噛んでないよ」
スモモと泉は向かい合って座っていた。
あんずは遊びに来ていた嵐によって連れ出された。
ゆうたはスモモの後ろにいた。
泉はゆうたに目を向ける。
「その式神、そんな泣き虫で大丈夫なの?本来なら主人を守るもんでしょ」
「ゆうたはちゃんと役目を果たしています。このままで良いのです」
スモモは立ち上がり、棚をあさる。
「泉さん、これを」
スモモが出したのは1本の組紐だった。
「私の『まじない』がかけてあります」
「まじない?」
何故?と聞くまえにスモモが口を開く。
「それを持っていれば、私が触れても、ひなたが噛みついても、泉さんの力をとることは出来ません」
「もう1体は、アンタと同じなんだ」
「そうです」
スモモはゆうたの方を向く。
「ひなたには内緒よ」
「もう遅いよ」
ゆうたとそっくりの声、ひなたの声がした。
顔をしかめ、不機嫌そうだった。
泉とゆうたは驚いたが、スモモは落ち着いていた。
「おかえり、ひなた」
ひなたはスモモに駆け寄る。
「何であげちゃうの?」
スモモはひなたの肩に手をおいて、目を合わせる。
「ゆうたが噛まれたら嫌でしょ?」
「そうだけど……」
ひなたを安心させるように抱き締めた。
「大丈夫だから、ゆうたとお祖父ちゃんの所に行ってて」
ひなたは納得いかない顔をしたが、従った。
泉とは目を合わせなかった。
2人が部屋を出るとスモモは泉に組紐を差し出した。
「どうぞ」
組紐は細長く、手首に巻ける程の長さだ。
「本当に良いの?」
「ええ」
泉は組紐を受け取る。
「因みに、ただゆうたに噛み付いても力は戻りませんよ」
「そうなの?」
ただゆうたが痛いだけと知り、泉は噛まなくて良かったと思った。