agreement
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日からスモモは近寄らなくなった。
物理的な距離は変わらないけど、壁を感じた。
「鳴上って本当に肌が綺麗ね」
「紫之くんの淹れるお茶は最高」
「あんず~、また双子ちゃんが~!」
あちこちで聞こえるスモモの声。
それにいちいち反応してる自分がいた。
変わらない筈なのに、モヤモヤした。
「あ、大神、これから部室行く?」
喧嘩が多かったコーギーとも最近仲が良い。
「なら朔間先輩に伝えて。放課後に伺いますって」
ああ、やっとわかった。
スモモは俺に声をかけなくなっていた。
前は寝たきりふりをしても、しつこいくらい話しかけてきたのに。
どうして?
スモモの秘密を知ったから?
咬んだから?
どうして?
落ち着かない。
放課後。
日も暮れて、誰もいない教室。
ただ、窓の外を見ていた。
ガラッ
「朔間、まだ残ってたの?」
スモモが教室に入ってきた。
毎日聞いてたのに、久しぶりにスモモの声を聞いた気がする。
「うん」
強くなるハーブの香り。
スモモが隣にいるのがわかる。
「スモモはハーブの香りがするね。最初は血の匂いがしたのに」
「!」
「魔女なんでしょ?」
スモモの表情が変わった。
怯えるような、諦めるような。
「信じるの?」
スモモが聞いた。
疑いの籠った声。
今の時代、普通は信じない。
でも瞬く間に花が枯れるのを見た、疑いようがない。
「事実でしょ?」
そう言うとスモモは俯いた。
泣くのを我慢しているようだ。
「俺と契約しない?」
スモモは今度は驚いた顔をした。
どうしてそう言ったのか、自分でも解らなかった。
スモモの手をとり、甲にキスをし、手首を咬んだ。
傍にいたい。
俺だけを見て。
名前で呼んで。
「凛月」
ただそれだけなのに、嬉しくて頬が緩んだ。
END