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凛月side.
††††††††††
2ーBに女子の転校生が来ることになった時、教室は騒がしくなった。
なんでもその生徒はあんずがスカウトしたらしい。
それに少し興味をもった。
「プロデューサーまでスカウトするなんて」
なっちゃんも驚いていた。
そう言えばお茶会の時に
「将来有望そうな子を見つけた」
とえっちゃんに話していた。
でもまさか女子で、プロデューサーとして将来有望な子とは思わなかった。
最初は血の匂いがした。
それに混じってハーブの香り。
それがスモモの匂い。
落ち着かなかった。
その場にいたくなかった。
「スモモとどうやって知り合ったの?」
「拾ったの」
「…………」
「冗談よ。見かけて声をかけたの」
あんずは表情を変えずに言うから、時々本気と冗談がわからない。
「スモモちゃんと仲良くしてね」
「……うん」
そう返事をしたけど、どう接していいか。
誰もスモモの血の匂いに気付かない。
匂いに敏感なコーギーもハーブの香りにしか気づかなかった。
あの匂いは落ち着かない。
昼休み。
「ふぁ~」
午後の授業までガーデンテラスで寝ようと思った。
丁度薔薇が見頃で良い香りがした。
「!」
スモモがいた。
薔薇の香りが強くてスモモの匂いに気づかなかった。
スモモは薔薇を見ていて、そっと一輪に触れた。
(っあ!)
眠気が飛んで、思わず声が出そうになった。
慌てて隠れた。
(……花が)
スモモが触れた途端、薔薇は枯れ、花弁は塵になった。
今見たものが信じられなかった。
数日後、放課後。
あれ以来、余計にスモモを避けていた。
教室にカバンをとりに戻るとスモモが顔を伏せて寝ていた。
反射的に逃げようとしたけど、ふと気付いた。
(血の匂いがしない)
ハーブの香りだけ。
投げ出されたスモモの腕。
手首に包帯が巻かれていた。
「?」
袖を捲ると包帯は肘まで巻かれていた。
スモモは起きる気配がない。
包帯をほどくとその腕は傷痕だらけだった。
(これだったんだ)
引き寄せられるように、傷のひとつに唇をあて、歯をたてた。