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私たちは壁を背に座った。
「魔女ってさ、妖精や魔物と契約するって本当?」
「本当よ」
「腕の傷はその代償?」
「そう」
凛月は眠そうな目で遠くを見ていた。
浮世離れした雰囲気。
凛月は人間なのに、人間じゃないみたい。
「信じるの?」
私は聞いた。
誰も信じなかった。
凛月もきっとそう……。
「事実でしょ」
さらりと凛月は言った。
泣きそうになった。
耐えるように俯くと凛月が頬に触れた。
「涙を流したら、力は無くなるの?」
「さあ。私は無くならなかった」
実際、何度も涙を流した。
だけど、何も変わらなかった。
「ねぇスモモ、俺と契約しない?」
「え?」
凛月は何を言ってるんだろう。
凛月は人間なのに。
「スモモの望みを叶えてあげるよ」
凛月は私の左手をとる。
「ずっと傍にいるよ」
手の甲に口付けた。
「お茶とお菓子もついてくる」
今度は手首の内側。
凛月から目が離せなかった。
その凛月と目が合う。
「報酬はスモモ自身」
凛月の犬歯が食い込んだ。
「っ!」
手を引っ込めようとしたけど、凛月がしっかり握っていてできなかった。
痛みがはしった。
前回と同じ所を噛まれた。
ポタッ
血が床に落ちた。
「スモモ」
凛月が呼ぶ。
「俺だけを見て」
真っ直ぐな瞳。
「名前で呼んで」
どこか弱々しい口調。
「凛月」
名前を呼ぶを凛月は嬉しそうに微笑んだ。
口の端についた血が艶っぽい。
(ああ、やっぱり赤が似合う)
「契約して」
「良いよ。契約しよう」
『朔間凛月は吸血鬼』
そう言ったのは誰だったろう。
その吸血鬼と、私は契約した。
END
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