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2ヶ月後。
夢ノ咲学院。
2ーB教室。
教室に入ってすぐに凛月を見つけた。
凛月は寝ていた。
艶やかな黒髪に白い肌、長い睫毛。
でも私が一番好きなのは赤い目。
写真越しに見ても惹き付けられた。
早く起きないかなと、今か今かと待っていた。
だけど、凛月はなかなか起きなくて。
無理矢理起こそうとしたら大神に全力で止められた。
私と大神は睨みあった。
「スモモちゃん」
「あんず!」
「晃牙くんと仲良くなったの?」
あんずはニコニコだ。
あんずが笑顔ということは、悪い人ではない。
でも、私が仲良くなりたいのは凛月だけ。
転校して暫く経つが、凛月は寝てばかりで、未だ話せてない……。
同じクラスになれたというのに!!
昼休み。
2ーA教室。
「凛月、今日も寝てる」
「……」
「あんず?」
あんずは私の愚痴を優しく受けとめてくれる。
だけど、今日は違った。
「いつも今くらいの時間は少し起きてるんだけど…」
ガタッ!
私は昼休みになるとA組に来る。盲点だった。
凛月の目を見るなら今だ!
だけど凛月はいなくて、落胆した私は席につくなり顔を伏せ、そのまま寝てしまった。
そして凛月に噛まれた。
「なんで凛月は噛むの?」
「吸血鬼だからよ」
あんずはサラリと言った。
私は顔をしかめた。
「…本気で言ってるの?」
あんずはそんな私を見る。
「まぁ、普通はその反応よね」
「………」
「どうしたの?」
「あんずは私が普通に見える?」
私は周りと同じことが出来ない。
周りは私の好きなことを、好きな物を否定する。
私は一般的な普通とは違うらしい。
あんずは包帯をとめた。
「私も、この学院の人は誰もスモモちゃんを変と思わないよ」
あんずは微笑む。
「凛月くんもね」
自分の頬が熱くなった。
あんずの顔は優しい笑みから、悪戯っ子のような笑みに変わった。
「好き、なんだよね?」
「!」
まさかあんずにバレていたなんて…。
いや、私はあんずといる時の方が多い。
だから彼女にバレても仕方ない。
「多分、真緒くんも気づいてると思うよ」
「!!」
………終わった。
『真緒くんは口が硬いし、大丈夫大丈夫』
あんずはそう言ったけど、私のメンタルは大丈夫じゃない。
衣更の存在、視線が気になり、暫く凛月に近づけない日々が続いた。
でも一応プロデューサー志望として転入した私にはやることが沢山ある。
ユニットに合った仕事を見つけたり、レッスンメニューを考えたり。
忙しいが、やりがいがある。
そうするうちに凛月に噛まれた傷も目立たなくなった。
包帯も必要なくなった。
ある放課後、調べ物をしていたらすっかり日が暮れてしまった。
教室に行くと窓際に誰か立っていた。
後ろ姿でもわかった。
凛月だった。
私はそっと近付いた。
「朔間、まだ残ってたの?」
凛月だけ名前で呼ぶのは変だから、苗字で呼んだ。
「うん」
凛月が返事をした。
私は隣に立った。
キレイな横顔。
ずっと見たかった瞳が此方を見た。
「スモモはハーブの香りがするね」
声もキレイだなぁ。
思わずうっとりしてしまった。
「最初は血の匂いがしたのに」
「!」
腕を掴まれた。
目が合う。
「魔女なんでしょ?」
ああ、凛月は気付いてたんだ。
私の家は魔女の家系だった。
私は先祖返りなのだ。
家族が、自分が気付いた時はもう遅かった。