薔薇の香りの中で
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中庭。
凛月とスモモは庭園の角に座っていた。
凛月は変わらず不機嫌な顔で、スモモはそんな凛月にどう話しかけるか考えていた。
やがて、スモモは踏み込んだ。
「あんず様とどのような話をしたんですか?」
「明日、向かえが来るから帰れって」
スモモは目を見開いた。
(……凛月様が帰る?)
凛月は客人。
いつかは帰る。
わかってはいたが……
「あんず、兄者に呼ばれたんだ」
「お兄さま?」
『零様が決めたこと』
一瞬、スモモの中に零の顔が浮かんだ。
スモモを見つめる幼い零。
そばには幼い凛月。
(…私、零様にも会ったことがある?)
ズキン
頭痛がした。
「スモモ!?」
遠くで凛月の声が聞こえた。
(……また、あの香り)
あの夜嗅いだ、薔薇の香り。
どこか懐かしくて、大好きな香り。
薔薇が咲き誇る庭にスモモはいた。
『スモモ』
スモモに優しく声をかける幼い凛月。
『凛月様』
スモモは凛月に駆け寄る。
凛月からフワリと香る、薔薇のコロン。
(ああ、凛月様はこの頃から、この香りをつけていたんだ)
生花の香りも好きだが、
凛月の薔薇のコロンの香りも、
凛月のことが大好きだった。
(……ああ。そうだ。私は!)
「っ!」
スモモは目を覚ますと同時に起き上がろうとした。
ゴン!
『ぎゃっ!』
何かに額をぶつけた。
一瞬見えたのは、あんずの顔。
スモモの具合を見ようとしたあんずと頭突きをしてしまった。
衝撃でスモモは再びベッドに仰向けになり、あんずは後ろに倒れそうなるが、男性に支えられた。
スモモは額をおさえながら男性を見る。
(……この方)
「零様?」
男性、零は驚いた顔をした。
だがスモモの視線は別の人物を探した。
その人物はあんずと零とは反対側にいた。
「凛月様」
「スモモ」
スモモが手を伸ばすと、凛月はその手をとった。
同時にスモモは呟く。
「―――」
『!』
全員が目を見開いた。
「それが、私の本当の姓です」
凛月とスモモは庭園の角に座っていた。
凛月は変わらず不機嫌な顔で、スモモはそんな凛月にどう話しかけるか考えていた。
やがて、スモモは踏み込んだ。
「あんず様とどのような話をしたんですか?」
「明日、向かえが来るから帰れって」
スモモは目を見開いた。
(……凛月様が帰る?)
凛月は客人。
いつかは帰る。
わかってはいたが……
「あんず、兄者に呼ばれたんだ」
「お兄さま?」
『零様が決めたこと』
一瞬、スモモの中に零の顔が浮かんだ。
スモモを見つめる幼い零。
そばには幼い凛月。
(…私、零様にも会ったことがある?)
ズキン
頭痛がした。
「スモモ!?」
遠くで凛月の声が聞こえた。
(……また、あの香り)
あの夜嗅いだ、薔薇の香り。
どこか懐かしくて、大好きな香り。
薔薇が咲き誇る庭にスモモはいた。
『スモモ』
スモモに優しく声をかける幼い凛月。
『凛月様』
スモモは凛月に駆け寄る。
凛月からフワリと香る、薔薇のコロン。
(ああ、凛月様はこの頃から、この香りをつけていたんだ)
生花の香りも好きだが、
凛月の薔薇のコロンの香りも、
凛月のことが大好きだった。
(……ああ。そうだ。私は!)
「っ!」
スモモは目を覚ますと同時に起き上がろうとした。
ゴン!
『ぎゃっ!』
何かに額をぶつけた。
一瞬見えたのは、あんずの顔。
スモモの具合を見ようとしたあんずと頭突きをしてしまった。
衝撃でスモモは再びベッドに仰向けになり、あんずは後ろに倒れそうなるが、男性に支えられた。
スモモは額をおさえながら男性を見る。
(……この方)
「零様?」
男性、零は驚いた顔をした。
だがスモモの視線は別の人物を探した。
その人物はあんずと零とは反対側にいた。
「凛月様」
「スモモ」
スモモが手を伸ばすと、凛月はその手をとった。
同時にスモモは呟く。
「―――」
『!』
全員が目を見開いた。
「それが、私の本当の姓です」