薔薇の香りの中で
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滞在中、凛月はよく1人で庭に来た。
「スモモー」
スモモを呼び、探す。
しかし、スモモは凛月への接し方がわからず、凛月を見かける度に隠れた。
隠れながら作業をした。
「見つけた」
「!」
そしてあっさり見つかる。
「お茶にしよう」
凛月はスモモと何かをしたがる。
あんずも幼い頃から、何かとスモモと共に行動したがる。
『お買い物に行きましょう』
『お勉強しましょう』
『刺繍をしましょう』
『ピアノとバイオリン、どちらが好き?』
………………
(いやいや、あんず様は仕事が一段落するまで待っていてくださる)
そういえば、今日はあんずを見かけていない。
「あんずなら出掛けたよ」
「……そうですか」
「そんなあからさまにガッカリしないでよ」
凛月が唇を尖らせるとスモモは頭を下げた。
「申し訳ありません」
「いいよ。許してあげる」
スモモは顔を上げると凛月は笑顔だった。
まるでこの時間を楽しんでいるように。
トクンと胸が鳴った。
「あの、凛月様」
「何?」
「私たちは、以前、お会いしたことがあるのですか?」
「あるよ。でも詳しくは言えない」
スモモは目を見開く。
「スモモにちゃんと思い出してほいしから。……そしてそれは、とても重要なことだから」
その微笑みなどこか悲しげだった。
夕方、あんずが帰ってきた。
「お帰りなさいませ」
「ただいま」
あんずはスモモに微笑むと、今度は凛月を見る。
「何?」
「大事なお話があります」
「………わかった」
厨房。
「では、お願いします」
「はい」
ティーセットとお菓子を受け取ったスモモはあんずと凛月がいる客間に向かう。
(大事な話に、私が入っていって良いのかな?)
ノックをして中に入る。
あんずと凛月は向かい合って座っているが、凛月は不機嫌な顔をして横を向いていた。
「凛月様」
「…………」
呼び掛けにも応じない凛月にあんずは困った顔をした。
不穏な空気だ。
スモモはなるべく早く退室しようと決めた。
「零様が決めたことですよ」
「勝手に決めないで!」
凛月が声を荒らげた。
スモモは吃驚したが、あんずは落ち着いていた。
それが更に凛月を苛立たせた。
凛月は席を立つとスモモの手首を掴んで部屋を出た。
「え?」
「ちょっ、その子は置いていきなさい!」
あんずが叫ぶ。
「…………はぁ」
凛月が出ていくと、あんずはため息をついた。