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「あらあら、あんずちゃんに知らせた方がいいかしら?」
騒ぎを聞き付けた嵐は状況を見て、頬に手を当てた。
仔狐2匹を抱いて走り回るスモモ。
それを追い掛ける白蛇。
「あ、嵐さん!」
スモモが嵐に気付いて駆け寄った。
「ナルくん、知り合いあの?」
白蛇が言った。
声は泉だった。
「前に話した術師の子よ。それより泉ちゃん、力取られちゃった?」
スモモに叩かれた時、泉は力が抜けていくのを感じた。
変化の術が解け、蛇に戻っていた。
「やっぱりそのガキが取ったんだ。返してよ!」
泉は噛み付く勢いで言った。
嵐はため息をついて、泉の首を掴み持ち上げた。
「どうせ泉ちゃんが恐がらせたりしたんでしょ、もぅ~」
嵐はスモモの方を向く。
スモモが抱き締めている仔狐たちはぐったりとしていた。
「うぅ~」
「気持ち悪い~」
仔狐たちは呻く。
「随分取られちゃったみたいねぇ。まあ、暫くすれば戻るけど」
嵐はスモモの頭に優しく手を置いた。
「スモモちゃん、少しでいいから泉ちゃんに力を返してあげて」
「……」
スモモは頷いた。
仔狐たち一旦地面に下ろす。
左手を1匹の仔狐の片前足に触れ、右手を仔狐の体にかざした。
すると、仔狐が白い服の少年になった。
「………駄目」
もう1匹の仔狐が言う。
「…やめて」
仔狐は苦しそうだった。
ポンッと青い服の少年になり、スモモにしがみついた。
「ひなた」
スモモは青い服の少年、ひなたの頭を撫でた。
「ひなたも辛いでしょ?」
「俺もゆうたくんも、我慢できるから!」
「ごめんね」
スモモは白い服の少年、ゆうたを抱き抱え、嵐と泉と向き合った。
そして、見た目幼い少女がとんでもないことを言った。
「泉さん、この子を噛んで下さい」
「……は?」
「甘噛みではなく、吸血して下さい」
泉はゆうたを見る。
耳は垂れ、顔色は悪く、意識もやっとだった。
傍には同じ顔のひなたが此方を睨んでいる。
噛み付く前に噛まれそうだ。
スモモは手を差し出した。
「泉さん、此方へどうぞ」
スモモの腕をつたって、泉はゆうたに近付いた。
泉と目が合うとゆうたはスモモの服を握りしめた。
「顔は駄目」
ひなたが言った。
「さすがに顔は噛まないよ」
「耳も駄目。尻尾も駄目」
「はい」
「首も駄目。肩も駄目」
「はいはい」
「手も駄目。足も駄目」
「…じゃあ、どこなら良いの?」
「全部駄目!」
『……………』
「…嵐さん」
今まで黙っていたゆうたが嵐を呼んだ。
「何?」
「あんずのまじない、まだ効いてますか?」
「ええ、効いてるわ」
「じゃあ、アニキを俺から離して下さい。これじゃ、らちがあかない」
一番最もなことを言った。
「わかったわ」
嵐はひょいとひなたを抱き上げた。
「っわ!」
「さぁ、ひなたちゃん、お姉ちゃんと遊びましょう」
「や、やだ!ゆうたくんの側にいる!」
ひなたの言い分は一切無視して、嵐はひなたを連れて行った。
「……大丈夫なの?」
「うーん、後が面倒」
スモモが言った。