smile
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数年後。
夢ノ咲学院。
ゆうたはあんずが持っている物を見て驚いた。
「あんずさん、その羊…」
「ん?これ?」
あんずは羊のぬいぐるみを持ち上げる。
色褪せて、所々何度も修復した痕がある。
「これがどうかした?」
「あ、いえ」
あんずは再び羊に針を刺す。
ゆうたはその作業を見ていた。
「昔、不思議な夢を見たんです」
「どんな夢?」
あんずが聞くと、ゆうたは話し始めた。
カラフルな部屋。
沢山のオモチャ。
ピンクのユニコーンが連れて来た女の子。
羊のぬいぐるみを抱きしめ、眠り姫のように寝ていた。
「その羊、そっくりです」
起きるのを待ちきれなくて、頬をつついた。
脇腹をくすぐった。
それがいけなかったのか、女の子は起きて暫くは不機嫌だった。
その後に見せた笑顔。
「可愛かったなぁ」
暫くして女の子はウトウトし始めた。
でも今度は寝ることを拒んだ。
女の子はもう会えないと思ったかもしれない。
自分はまた会えると思った。
『忘れないで』
女の子にそう言った。
だけどあれ以来、あの夢は見なかった。
「不思議な夢ね」
作業を終えたあんずが言った。
ぬいぐるみをグニグニ揉んで形を整える。
「会ってみる?」
「え?」
あんずは羊をゆうたの頬にチョンとあてた。
「この羊の持ち主。明日来るのよ」
翌日。
普段、関係者以外入れないアイドル科の校舎。
今日は年に数回、一般人も入れる特別な日。
ハロウィンに飾りつけされた校内をスモモは人々の間をすり抜けながら進んでいた。
そして赤ずきんを被った目的の人物を見つけた。
「あんずちゃん!」
呼び掛けるとあんずもスモモに気づきニッコリとする。
「いらっしゃい」
あんずはそう言い、羊をスモモに渡した。
「はい。直したよ」
「ありがとう」
スモモは羊とあんずをギュッと抱きしめた。
「スモモちゃんに会わせたい人たちがいるの」
スモモが連れてこられたのはライブ会場だった。
既にライブは始まっていてカラフルなライトが会場を駆け巡っていた。
ステージに立っていたのは2wink。
スモモは目を輝かせ、羊をギュッと抱き締め、双子のステージを見つめた。
2winkのライブが終わるとあんずはスモモをステージ裏に案内した。
「ひなたくん、ゆうたくん、お疲れ様」
「あんずさん、お疲れ様」
ゆうたが言った。
「お疲れ様。……あれ、そのこ」
ひなたがスモモを見て目を見開いた。
「従妹のスモモちゃんよ」
スモモは羊をギュッと抱き締め、微笑んだ。
「こんにちは」
END