smile
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スモモはいつも羊のぬいぐるみを抱き締めていた。
なにをするも、何処に行くのも必ずその羊は一緒だった。
いつも眠たげなスモモにとってその羊は大切な枕代わりだった。
「スモモちゃん、眠い?」
従兄の姉のあんずはよくスモモにそう聞く。
スモモは首を横に振ると、羊を挟んであんずに抱き着いた。
本当は眠かったが、あんずといる時は起きていたかった。
複雑な事情で従兄に姉ができた。
まだ幼かったスモモには複雑な事情はわからなかった。
でも優しいあんずのことは大好きだった。
「あのね、また夢を見たの」
「楽しい夢?」
「うん」
スモモはにっこりした。
あんずもにっこりする。
スモモは両親とフリーマーケットに行き、人形を買ってもらった。
二体で一対だという同じ顔、色違いの服を着た双子の、フェルトで作られた柔らかい人形。
ベッドサイドに飾り、朝は「おはよう」で始まり、夜は「おやすみ」と毎日話かけた。
それから時々同じ夢を見るようになった。夜、自室で目が覚めた。
窓を開けて星空を見ていた。
最初はそれだけだった。
それでも普段夢を見ないスモモにとっては貴重だった。
「ユニコーンが来たの。ピンク色でフカフカの」
「ぬいぐるみ?」
「うん。やっと来たの」
夢の中のスモモは何故かユニコーンが来ることを知っていた。
そして待っていた。
ピンクのユニコーンに乗ると、ユニコーンは夜空を駆けた。
ユニコーンに揺られながら、スモモはまた眠った。
次に目を覚ましたら朝だった。
「次に見たらどこかに着くと思うの」
「楽しみだね」
「うん!」
夜。
「おやすみ」
いつものように双子の人形にそう言ってスモモは眠った。
暫くしてツンツンと頬をつつかれるのを感じた。
「ねぇ」
ツンツン
「ねぇ、起きてよ~」
ツンツンと何度もつつかれる。
同時に声もする。
「ん~」
目を開けると、同じ顔がふたつ。
『ああ!起きたぁ~♪』
2人が同時に言う。
満面の笑みで。
「うるさい」
スモモは羊のぬいぐるみを抱き直し再び眠ろうとした。
「ああ、寝ないでぇ」
ひとりがスモモの脇腹をくすぐった。
「きゃあぁ」
スモモは叫んで相手に羊を投げた。
「何するの!」
スモモが怒ると相手はケタケタ笑った。
もうひとりが羊を拾い、スモモに近付く。
「ごめんね。起きるの待ってたんだけど…退屈しちゃって」
羊をギュッと抱きしめた。
それを見てスモモは眉をよせた。
バッと両手を出す。
「メエちゃん、かえして」
相手は一瞬キョトンとしたが、羊のことに気がつくと慌てて差し出した。
「ああ、ごめんね」
スモモは羊を受けとる。