2.「甘味」と「嫌悪」
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「あまり桃李をいじめないでくれる?」
「いじめてなどいない」
『昨日の仮装した智の写真を私の携帯に送っておくれ』
『と、撮ってないよ。昨日は忙しかったもん』
水季は笑顔を崩さず、桃李を壁に追い詰める。
『嘘をつくでない。とびっきり可愛いのを頼むぞ』
『~~~~~』
「助けなかったお主も同罪だ」
桃李から送られてきた写真はあんずとのツーショット。2人とも笑顔で、着ている衣装もはっきりとわかる。
「やはり、恋してる者は撮り方が上手いな」
水季はご満悦で携帯をしまう。
「お主が送ってきたのは、大方、撮ろうとして逃げられた瞬間だろう」
「解ってて怒鳴り込みに来たのかい?」
「それだけではない」
水季は英智を見る。
「そちらのスケジュールを少し聞きたい。近く、雨天中止になるような仕事はあるか?」
英智は目を見開いた。
「最近、雨が降ってない。だから降らす」
きっぱりと言った。
英智はふっと微笑んだ。
「詳しいスケジュールならあんずちゃんに聞いた方が良いよ」
「すまんな」
水季は扉の方に向かう。
「水季」
英智が呼ぶ。
「去年までの君はアイドルのスケジュールなんて気にしてなかったよね」
水季は振り向く。
「そうだったか?」
「幼馴染みの為かい?」
水季は目を見開いたが、すぐに微笑んだ。
「私も年頃ということだ」
その表情はまるで……。
「んー、今のところ無いよ」
「そうか。わざわざすまんのう」
「いいよ。でも何かあるの?」
「ちょっとな」
あんずは水季が特殊な仕事をしていることは知っているが、『役目』のことは知らない。
水季は辺りをキョロキョロと見渡した。
「翠くん?」
あんずが聞くと水季は驚いた顔をした。
「何故わかった?」
「水季ちゃん、わかりやすいよ」
あんずはクスクス笑った。
「アイドル科に来るといつも探してるもの」
「そう言われてみれば、そうだ」
水季は恥ずかしくなった。
「翠くんなら、体育館だと思うよ」
「……部活か」
水季は眉をひそめた。
「水季ちゃん?」
あんずは水季の不機嫌な顔をに少し驚いた。
「もしかして、バスケ嫌い?」
「いや、そうではない」
水季は窓の外を見る。
丁度体育館が見えた。
「私はな、あんず」
ある人物を睨みながら言った。
「守沢千秋が大嫌いなのだ」