9.「夢の中」と「夕立切」
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翠side
母親に連れられて大きな屋敷に来た翠はポカンと口を開けた。
『お母さんの友達に会いに行こう』
それだけ言われて着いたのは
『変な女の子がいる』
と他の子に聞かされた屋敷だった。
(か、帰りたい)
真っ先に思った。
「いらっしゃい」
出迎えてくれた女性の後ろに小さな子がいた。
女性、母親の後ろにぴったりくっついて、顔がまったく見えない。
だけど、髪がすごく・・・
「ほら翠、こんにちはしなさい」
「・・・こんにちは」
「水季も」
「・・・・・・こんにちは」
か細い声。
顔が見たい。
それに、
「髪、キラキラしてる」
「!」
水季がそっと顔を出す。
「!!」
今思い出すと、完全に時が止まっていた。
現在。
(全然、変じゃなかった)
眠り続ける水季を見ながら、翠は昔を思い出していた。
最初に見た、水季の少し怯えた顔。
心ないことを言われた表情。
自分のこともきっと怖かったはず。
だけど気づかず、自分から水季に近づいた。
「水季」
始めて名前を呼んだ時、
『水季ちゃん、でしょう!』
と母に頭を叩かれた。
暫くは「水季ちゃん」と呼んでいたがすぐに「水季」と呼ぶようになった。
特に何をして遊んだという記憶はない。
広い庭を散歩したり
日向ぼっこしたり
本を読んだり
そんなことが多かった。
水季のそばは、隣は居心地が良かった。
「水季」