8.「妨害」と「終の舞」
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翌日。
普通科2年教室。
「来年もアイドル科に?」
「ああ、立場的に橋渡しに適任らしい」
水季の言葉に友人は頬を膨らませた。
「来年は水季と過ごす時間が増えると思ったのに」
水季はクスクス笑う。
「舞の披露が終われば暫くはのんびりできる。そしたら沢山遊ぼう」
「うん!」
アイドル科、1-A教室。
「翠くん、次移動っすよー」
「!」
鉄虎に声をかけられて、翠ははっとした。
気がつかないうちにその授業は終わっていた。
「具合でも悪い?」
ひなたが聞いた。
「そうじゃないけど・・・」
水季のことを考えてた。
とは言わない。
言えない。
小学校、中学と一度だけそう言ったら、瞬く間に噂になったのだ。
水季本人にその噂が入ったかはわからない。
だけど、距離ができた。
そのまま水季は中学を卒業した。
お互い進路の話はしなかった。
たまたま偶然、翠も同じ高校になった。
水季は翠の母親から聞いていたらしい。
再会した時、水季は変わっていた。
『翠!』
翠を呼ぶ声は変わらない。
だけど雰囲気は変わった。
喋り方も。
『水季さんの喋り方、朔間先輩みたいだよね』
ひなたが言っていた。
中学の頃はああじゃなかった。
周りと同じだった。
近くにいるのに遠く感じた。
放課後。
「あ」
翠は前を歩く水季を見つけた。
サラサラの髪。
陽にあたり、輝く銀色。
『水季ちゃんの髪、キラキラしてる』
幼い頃、そう言うと水季は嬉しそうに微笑んだ。
「!」
ああ、そうだ。
あの時からもう・・・
好きだったんだ。
「水季」
声にだしたら、水季が振り向いた。