1.「校門」と「出逢い」
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あんずが水季と初めて会ったのは6月、梅雨入り前だった。
テレビではまだ宣言はされてなかったが、降ったりやんだりと予報外れの天気が続き始めていた。
「また降ってきた」
ぱらつく雨をあんずは教室の窓から見ていた。
「あれ?」
ふと向けた校門に女性を見つけた。
傘を持っている気配はない。
「あの人、濡れちゃう」
あんずは自分の折り畳み傘を持って教室を出た。
校門の内側から女性をのぞき見して気づいた。
(普通科の人だ)
普通科の生徒、水季はあんずに気づかない。
俯いて、校門に寄りかかっていた。
(綺麗な人だなぁ)
雨に濡れた銀髪、同色の長い睫毛。
白い肌。
スラリと背が高く、制服の上からでも凹凸がはっきりわかる身体。
同性のあんずも思わず見とれてしまった。
水季は瞬きをすると、漸くあんずに気づいた。
「何か用か?」
2人は互いに自己紹介をした。
「ほう、そなたがプロデューサーのあんずか」
「はい。あの、ずっと校門にいますけど、誰か待ってるんですか?」
「うむ。高峯翠を知っておるか?そやつを待っておる」
水季はにこやかに話す。
「そうなんですか」
(翠くんにこんな美人な彼女がいたなんて)←勘違い。
「にしても、遅いのう」
水季は携帯を確認する。
「おや、翠から来てるのう」
翠からのメッセージを見た水季は形のよい眉と凛々しい目をつり上げた。
鬼の形相で携帯を通話にすると耳にあてた。
「でない」
通話を切るとあんずを睨む。
(ひっ…!)
あんずは逃げようとしたが、水季の動きの方が速かった。
がしっとあんずの肩を掴むと抱き寄せた。
カシャ
カメラのシャッターオンが聞こえた。
そして再び携帯を操作するとしまった。
「では行くぞ」
水季はあんずの手をとって歩きだす。
「え?ど、何処に?」
あんずが戸惑いながら聞くと水季はニヤリとした。
「とっても良い所だ」
その微笑みは恐くなく、むしろ楽しそうで可愛らしかった。
一方、翠は携帯を見て青ざめた。
送られてきたのは水季とあんずのツーショット、そして短い文章。
「なんであんず先輩が…、というか水季、本当に何してんの?」