6.「作戦」と「風邪」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わからん」
水季が呟く。
「何が?」
あんずが聞く。
「何故、智が天祥院殿になついているのか」
あんずは水季の視線の先を見る。
智が英智と話をしている。
「なつく、かぁ…。どちらかと言うと英智さんが智ちゃんの傍にいたがるのよねぇ」
「そうなのか?」
「……う~ん、智ちゃんが彼氏のところに行かないようにしてるみたい」
「…………」
あんずは水季の表情を見て、クスクス笑った。
「水季ちゃん、敬人さんと同じ顔してる」
会話を終えたのか、智は英智から離れた。
その後ろ姿を英智は淋しそうに見つめる。
(皇帝と呼ばれている男がなぁ)
「英智さんだけならいいんだけど…」
あんずはため息をつく。
(瑛智さんだけなら?)
あんずによると、一部の生徒が智と彼氏を遠ざけるようにしているらしい。
『桃李くん、ワガママ言わないの』
『凛月ちゃん、困らせちゃ駄目』
『ひなたくん、ゆうたくん、いい加減にしなさい!』
『王さま!』
「それは、あんずも鳴上も大変だな」
水季は苦笑した。
「智の彼氏とやらは、どんな人なのだろうな…」
用事を終えた水季は廊下を歩いていた。
遠くからパタパタと足音が近付いていた。
曲がり角からひとりの少女、智が出てきた。
「智?」
「あ!水季さん」
「何だ?その格好」
智はドレスを着ていた。
パーティー用というより、お伽噺のお姫様のような、ピンクを基調としたドレス。
「可愛らしい、どうしたのだ?」
しかし智は水季の質問には答えず、水季に駆け寄るとその背中に隠れた。
「助けてください!」
「え?」
智が走って来た方向からバタバタと足音が聞こえた。
「待て!智!」
「蓮巳先輩?」
「!水季」
来たのは敬人だった。
敬人は水季に気づき、足を止めた。
「何事ですか?何故、智を追いかけているんです?」
「それは……」
敬人の視線の先が変わった。
水季と智の後ろを見ていた。
「何してんだ?」
2人は振り向く。
「紅郎先輩」
智は呟くと、倒れた。
「智!?」
水季は智を抱き起こす。
紅郎も慌てて駆け寄る。
敬人は額に手をあて、ため息をついた。
1/7ページ