5.「好意」と「休日」
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数日後。
「あんず、もう大丈夫なのか?」
「うん、心配かけてごめんね」
あんずが退院し、日常が戻ってきた。
「すっかり寒くなったねぇ」
「温かい物が美味しくなるのぅ。例えば、甘酒」
「んー、たい焼き」
「おしるこ」
「肉まん」
「豚汁」
「シチュー」
「おでん」
「焼き芋!」
後ろから明るい声。
『良いね!』
水季とあんずの声が重なる。
「太るよ」
呆れたような声。
2人が振り向くと、レオと泉がいた。
「うっちゅ~☆水季、相変わらず綺麗だな」
「ありがとうございます。月永先輩」
水季はニッコリする。
「で、何の話してたんだ?」
レオは首を傾げながら聞く。
「おや、もうこんな時間か。悪いがそろそろ失礼する」
「うん。またね」
「月永先輩、瀬奈先輩、失礼します」
「またな~」
「またね」
水季が立ち去ると、レオはあんずの方を向いた。
「なあ、あんず」
レオの声が少し低いことが気になり、あんずもレオを見る。
「何ですか?」
「水季と皇帝ってどういう関係なんだ?」
レオは多分気づいてない。
自身の声が変わっていることに。
何かを探るような目をしていることに。
「さあ、私も詳しく知りません」
あんずが転校して来た時、水季は既に当たり前のようにアイドル科によく足を運んでいた。
1年生よりも敷地のことに詳しかった。
転校して1、2ヶ月程経ってから水季と英智が家同士の付き合いがあると知った。
「水季は去年からちょくちょく来てたんだ」
泉が言った。
皆、最初は普通科の1年が迷い込んだって思っていた。
だが英智と一緒にいるところを度々目撃された。
「綺麗だし、品がある。そんなのが天祥院の隣にいれば令嬢だと誰もが思う」
暫くして噂が流れた。
『天祥院英智の婚約者』
「まさか!」
「うん。2人共否定した」
水季も英智も凄く迷惑そうな顔をしたので噂はすぐに消えた。
生徒会室。
「今日は顔色が良いね」
「?」
「あんずが入院したと知った時、真っ青だったらしいね。桃李から聞いたよ。君まで倒れるんじゃないかと思った」
優しげな顔で言う英智。
でも声は本当に心配していたようだ。
「すまない」
水季は顔を伏せる。
あんずは会う度に翠のことを話してくれた。
その優しさに甘えていた。
そのうち、あんず自身に興味をもった。
普通科の友人も大事だが、あんずのことも大切に思っている。
今、あんずがいなくなったら、水季の心に穴があくだろう。
「水季」
英智の声を聞いて水季ははっとして顔を上げる。
「水季も少し休んだ方が良い」