4.「恋愛」と「事件」
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友人妹side.
祖父は祖母とは再婚だった。
初婚の相手とはお見合いだった。
だけど離婚の時、家を追い出された。
生まれ育った家を…。
『いつか取り返そうね』
『うん!』
姉と約束した。
だけど、祖父が亡くなった数年後、姉はそれを放棄した。
『どうしてよ!?』
『あんたもその内解るよ』
そして「あの大嘘つき」と呟いた。
誰のことだろう?
だから作戦は妹が1人で実行することにした。
姉が約束を放棄する前に、その家の調べはついていた。
姉と同い年の女性がいる。
しかも姉と同じ学校だった。
その女性を誘拐する。
そして家と交換する。
犯罪になるけど、悪いのはむこうだと信じていた。
作戦決行の日、妹はその家に圧倒された。
「…………」
広い、大きな日本家屋。
インターホンを押した。
出てきたのは、これと言って特徴のない顔だちの女性。
でも出てきたってことは、この家の人。
この人が水季か。
妹は計画を実行した。
「お願いです。黙ってついてきて下さい」
もう後戻りできない。
水季を自宅に連れてきた。
広くないけど狭くもないアパート。
その一室に両親と姉妹の4人が住んでいる。
姉妹の部屋は共同。
部屋に水季を入れると妹は部屋を出た。
そして姉に連絡した
とりあえず、水季にお茶を出すことにした。
お茶をもって部屋に戻ると水季が写真立てを見ていた。
「この人はお姉ちゃん?」
「そうです」
水季はお茶を飲んだ。
毒物とか、なんの疑いもせず。
「そう言えば、お名前は何と言うの?」
私は自分の名前を正直に言ってしまった。
「良い名前ね」
水季は笑みを深める。
この状況がまるで解ってないのかのよう。
あの屋敷でぬくぬくと育った、世間知らずなお嬢様。
(でも、なんだろう。この違和感)
雰囲気が平凡というか、地味というか…。
ガチャ
バタン
玄関の方で音がした。
姉が帰ってきた。
バタバタと部屋に向かってくる。
ガチャ!
「!」
水季を見た姉は驚いた顔をした。
その時、妹は初めて気づいた。
2人の制服が違うことに。
この人は水季じゃない!?
姉は部屋の外、廊下の方に顔を向けた。
「水季、いたよ」
「!」
部屋に入ってきたのは、銀髪のキレイな女性だった。
女性はフワリと微笑む。
「はじめまして。私が水季だ」
全員リビングに移動した。
「ごめん、水季」
姉は水季に謝る。
そして水季の隣に座る人にも頭を下げる。
「あんずさんも、すみません」
妹水季と思っていた人は、水季の友達のあんず。
たまたま水季の家に遊びに来ていたらしい。
妹は玄関から出てきたというだけであんずを水季と勘違いしてしまった。
だけど、それよりも…
「お姉ちゃんは水季、さんと仲好しなの?」
「うん」
あっさりと姉はこたえた。
水季もニッコリする。
(ああ、本当に仲好しなんだ)
自分の知らないところで、いろんなことが変わっていく。
あんずが妹の名前を呼ぶ。
「水季ちゃんに用事があったんだよね?」
「………」
私は口をつぐんだ。
姉も気まずい顔をしている。
「あんず、先に帰ってくれぬか」
水季が言った。
家の鍵らしき物を渡す。
「あの子が待ちぼうけしているかもしれない」
「……わかったわ」
あんずさんは従った。
「さて、どこから話すべきか」
水季は扇子を口元にあてる。
「そういえば、水季はどうやって此処に来たの?」
姉が聞く。
すると水季はニヤリとした。
制服のポケットに手を入れる。
やけにパンパンだ。
「あんずは愉快な子でなぁ」
ポケットから出した物をバラバラとテーブルに広げる。
「道標にこれを落としていったのだ」
それは個包装された、大量の飴だった。