3.「教室」と「環境」
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中学校に入学すると環境は大きく変わる。
小学校の頃より人数もクラスも増えた。
同じ小学校出身で既にグループができていたり、共通の趣味で新しくできたりした。
翠と水季は校内で会うことはなかった。
学年は勿論だが、教室も離れていた。
「ねぇ、高峯くん」
ある日、女子に呼び止められた。知らない女子だった。
「何?」
「今、付き合ってる人、いる?」
「いないよ」
「じゃあ、好きな人は?」
女子は真剣な顔で聞いてくる。
その眼が、少し恐かった。
「……いない」
「本当!?っよし!ありがとう!」
そう言って女子は走り去った。
「?」
クスクスと後ろから笑い声が聞こえた。
振り向くと水季がいた。
「水季」
「こら。『先輩』をつけろ」
「今更?」
「……ま、それもそうか」
水季は翠に歩みよる。
「なかなか可愛らしい子だったな」
「そう?」
「付き合うのか?」
水季の問いに翠はキョトンとする。
「何でそうなるの?」
今度は水季がキョトンとした。
翠は気にせず、次の言葉をだした。
「水季、髪、伸びたね」
短くなっていた水季の髪は伸び、陽にあたるとキラキラと輝いていた。
数日後、翠は1人の女子から告白された。
翠に『好きな人がいるか?』と聞いた女子の友達だった。
翠は告白を断った。
「…やっぱり2年生の人と付き合ってるの?」
女子は悲しそうに聞いた。
「2年生?」
「水季って人」
「付き合ってないよ」
何故、水季が出てくるのが解らなかった。
暫くして、翠と水季が付き合っているという噂を翠は知った。
そんな噂は小学校の頃から度々あった。
同級生に、告白してきた女子に聞かれる度、翠は否定した。
『付き合ってない』
『ただの幼馴染み』
『関係ない』
何度同じことを言っただろう。
だんだん疲れてきた。
噂は水季の耳にも入ったのだろう。
昔は気にしてなかった水季も、今は気にするようになったのか、2人が話すことはなくなった。
そのまま学年が変わり、季節は巡り、水季は卒業した。
暫く雨が降ったり止んだりと、予報外れの天気が続いた。
まるで翠の気持ちを表しているように。