番外編3.party
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生徒会室。
「お披露目?」
「そう」
「天祥院家のパーティーで?」
「そう」
「何を?」
智ちゃんは首を傾げながら聞く。
「『何』じゃなくて『誰』なんだけど」
「?」
智ちゃんは本当にわからないという顔をした。
英智さんはクスクス笑う。
「智のお披露目だよ」
智ちゃんは目を見開いた。
が、直ぐに伏せた。
英智さんも笑みを消した。
「周りが気づき始めた」
「うん」
智ちゃんが有名なカメラマンの子供であることは未だに伏せている。
だけど、現場では噂が少しずつ、静かに拡がっていた。
最初は好奇心から、やがて確信をもって。
「オレは静かに暮らしたいんだがなぁ」
智ちゃんの口調が変わる。
彼女の普段の、本当の言葉づかい。
最初はその言葉遣いにびっくりしたが、今はもう驚かない。
「君が静かだと、僕は心配だよ」
英智さんは言う。
「で、智はどうしたい?」
「え?」
「僕は考えただけで、智が決めていいんだよ」
智ちゃんは暫く考え、やがて英智さん見た。
「出席する」
その意志の強い横顔は美しく、姿勢は令嬢のようだった。
そして智ちゃんは私の方を向くとニッコリした。
「あんず先輩、協力して下さい」
私は英智さんを見た。
英智さんもニッコリしている。
再び智ちゃんを見る。
綺麗な先輩と可愛い後輩のお願い。
2人の笑顔がそっくりだ。
嫌な予感しかしない。
「あんず先輩、一緒に出席して下さい」
智にそう頼まれた。
付き添い、まあそれなら良いかと引き受けたが、
「私が先輩をエスコートします」
その言葉に耳を疑った。
英智さんも最初は驚いた顔をしたが、意味を理解した。
それから数週間、仕事の合間に礼儀作法、ダンス、淑女教育?を徹底的に叩き込まれた。
DDDの時のように頑張ったと思う。
本当に頑張った!!
そしてパーティー当日。
私たち用の控室としてあてがわれた部屋の窓は全開で涼しい風が入ってくる。
それでも私は緊張で吐きそうだった。
(……とうとうこの日が来た)
「っわ~、先輩とっても素敵です!」
着替えを終えた智ちゃんが仕切り板の向こうから出てきた。
英智さんが用意してくれたパーティー服。ドレスも英智さんが用意してくれた。
周りに私たちがパートナーだと解るように両方に同じ薔薇のコサージュが付いている。
私は裾に気を付けながら立ち上がった。
「智ちゃんも素敵よ」
どう言おうか迷ったが、そう言うと智ちゃんはニッコリした。
「キツイ所はない?大丈夫?」
「大丈夫です」
最初は制服と同じサイズで良いかと思ったが、一応寸法を測ったら、身長も含めてあちこち成長していたらしい。
その為、体形を誤魔化す為に少し大きめに作った。
お互い鏡の前で最終チェックをしていると扉をノックする音がした。
扉を開けると智ちゃんと同じ服を着た英智さんがいた。
「そろそろ行こうか」
『はい!』
私たちは部屋を出た。
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