番外編2.one-sided love.Ⅱ
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ハロウィンイベント当日。
『智!』
智は重なる2つの同じ声に呼ばれた。
振り返ると葵兄弟がいた。
「わぁ、2人とも可愛い。コウモリ?」
「そうだよ」
「あ、智、何持ってるの?」
ひなたが聞いた。
智は紙袋を大事そうに胸に抱えていた。
「えへへ」
智は嬉しそうな顔をした。
「紅郎先輩が作ってくれたの。あんず先輩とお揃い」
『赤ずきんちゃんの衣装』
「私も着替えてくるね」
数分後。
「じゃーん!どう?」
着替えを終えた智はくるりと回って見せた。
白いブラウスにベスト、カーキ色のズボンにブーツ。
背中には何かの毛皮を背負っていた。
「…」
「えっと」
ひたなはポカンとし、ゆうたは言葉を探した。
それは赤ずきんちゃんではなく…。
「狼?」
「猟師よ」
智はこたえる。
『赤ずきんちゃん』ではなく『「赤ずきんちゃん」の登場人物』だった。
「猟銃は、あんず先輩と敬人さんが危ないから駄目って…」
智は拗ねたように言う。
「智~!」
桃李がパタパタと智と葵兄弟に駆け寄った。
「あんずが探してたよ」
「そうなの?」
「連れてってあげる!」
智の手を握る。
「2人とも、またね」
智は葵兄弟に笑顔で言うと、桃李とあんずの所に向かった。
数日前。
ゆうたは智に紅郎への告白の後押しをした。
しかし智は
『返事を聞くのがこわい』
と言い、紅郎に言うだけ言って逃げ続けた。
だから、この話はなかったことになると思った。
『あ、あのね、お付き合いすることになったの』
頬を染め、瞳を輝かせながら智は言った。
瞬間、ゆうたと桃李は崖から落ちた気分になった。
『ゆうたのバカ~!裏切者~!』
『ごめんってばぁ……。まさか、鬼龍先輩がOKするとは』
『バカー!!』
桃李はゆうたをポカポカと叩いた。
「姫くん、智のこと、諦めてないね」
「うん」
ひなたが言うと、ゆうたは頷いた。
「ゆうたくんは、いいの?」
「うん、いい」
ゆうたは穏やかな口調で言った。
確かに智に恋をしていた。
でも今は、智がそこにいるだけで、充分だった。
END