15.「敬人」と「英智」
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夢ノ咲学院。
生徒会室。
敬人は眉をしかめ、智の言葉を思い出す。
『私が日本にいること、天祥院さんには内緒にしてください』
本人は笑顔のつもりだったかもしれない。
だけど敬人には今にも泣きそうに見えた。
それから偶然が重なってか、智は夢ノ咲学院に転校してきた。
あの約束がなければ、智は今も笑顔で、真っ直ぐ自分達に会いに来ただろう。
だが実際、智とは未だに会っていない。
あんずが関わっていると知った時は理由を付けて連れて来させようとした。
「何故連れて来ない!?」
「蓮巳先輩が恐いからです!」
「っな!」
そんなやり取りが繰り返された。
あんずは抵抗した。
かなり必死に。
「暫くあんずちゃんに任せよう」
英智はそう言ったが、それでも敬人は納得しなかった。
何故、自分まで避けるのか?
『敬人さん』
最後に会った時、智は嬉しそうな顔をした。
だけどすぐに悲しそうな顔をした。
「!」
思い出した。
『どうして、日本にいる?』
敬人は智にそう言ったのだ。
(……ああ、そうか)
智はその時、全てを察した。
敬人に接すれば、必ず英智に知られる。
会わないと決めた心が鈍る。
敬人は智が『泣く甘え』ができる唯一の存在だった。
だから智は敬人のことも避けたのだ。
敬人を巻き込まないように。
甘えないように。
泣かないように。
敬人は暫く様子を見ることにした。
倒れたと聞いた時は驚いた。
(紅郎から聞いた)
栗鼠の着ぐるみを着て校内を彷徨いたのには呆れた。
(紅郎となずなから聞いた)
司をひっぱたいたのには絶句した。
(司本人から聞いた)
(こっちは心配してるのに、……何をしているんだ智は!)
それでもクラスメートともあんずとも上手くやっているようだから、放っておこうと思った。
そんな矢先だった。
智が部活見学をしていると聞いた時、弓道部には来ないだろうと確信した。
だから扉を開けた時、智がいて驚いた。
智も敬人に気づいて驚いた顔をした。
「##NAME1##」
「お久しぶりです。蓮巳先輩」
泣きそうな声で、無理矢理笑顔を作って智は言った。
すうっと流れるように敬人の横を通り過ぎようとした。
「待て!」
敬人は咄嗟に智の肩を掴んだ。
今ひき止めないといけない気がした。
だけど簡単にはらわれた。
「もう何も知らない子供じゃない」
「!」
いつまでも純粋無垢なままでいてほしい。
英智と同じように、自分がそう願っていたことに気づいた。
翌日、智は登校してこなかった。
放課後、事情を全て知ったあんずが智の家に行った。
そして翌朝、あんずは生徒会室に来た。
智から英智への伝言を携えて。
『バーネットの庭で待ってる』
今後、智と英智はどうするのか。
敬人はもう、待つことしかできなかった。
生徒会室。
敬人は眉をしかめ、智の言葉を思い出す。
『私が日本にいること、天祥院さんには内緒にしてください』
本人は笑顔のつもりだったかもしれない。
だけど敬人には今にも泣きそうに見えた。
それから偶然が重なってか、智は夢ノ咲学院に転校してきた。
あの約束がなければ、智は今も笑顔で、真っ直ぐ自分達に会いに来ただろう。
だが実際、智とは未だに会っていない。
あんずが関わっていると知った時は理由を付けて連れて来させようとした。
「何故連れて来ない!?」
「蓮巳先輩が恐いからです!」
「っな!」
そんなやり取りが繰り返された。
あんずは抵抗した。
かなり必死に。
「暫くあんずちゃんに任せよう」
英智はそう言ったが、それでも敬人は納得しなかった。
何故、自分まで避けるのか?
『敬人さん』
最後に会った時、智は嬉しそうな顔をした。
だけどすぐに悲しそうな顔をした。
「!」
思い出した。
『どうして、日本にいる?』
敬人は智にそう言ったのだ。
(……ああ、そうか)
智はその時、全てを察した。
敬人に接すれば、必ず英智に知られる。
会わないと決めた心が鈍る。
敬人は智が『泣く甘え』ができる唯一の存在だった。
だから智は敬人のことも避けたのだ。
敬人を巻き込まないように。
甘えないように。
泣かないように。
敬人は暫く様子を見ることにした。
倒れたと聞いた時は驚いた。
(紅郎から聞いた)
栗鼠の着ぐるみを着て校内を彷徨いたのには呆れた。
(紅郎となずなから聞いた)
司をひっぱたいたのには絶句した。
(司本人から聞いた)
(こっちは心配してるのに、……何をしているんだ智は!)
それでもクラスメートともあんずとも上手くやっているようだから、放っておこうと思った。
そんな矢先だった。
智が部活見学をしていると聞いた時、弓道部には来ないだろうと確信した。
だから扉を開けた時、智がいて驚いた。
智も敬人に気づいて驚いた顔をした。
「##NAME1##」
「お久しぶりです。蓮巳先輩」
泣きそうな声で、無理矢理笑顔を作って智は言った。
すうっと流れるように敬人の横を通り過ぎようとした。
「待て!」
敬人は咄嗟に智の肩を掴んだ。
今ひき止めないといけない気がした。
だけど簡単にはらわれた。
「もう何も知らない子供じゃない」
「!」
いつまでも純粋無垢なままでいてほしい。
英智と同じように、自分がそう願っていたことに気づいた。
翌日、智は登校してこなかった。
放課後、事情を全て知ったあんずが智の家に行った。
そして翌朝、あんずは生徒会室に来た。
智から英智への伝言を携えて。
『バーネットの庭で待ってる』
今後、智と英智はどうするのか。
敬人はもう、待つことしかできなかった。