14.school life
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翌日。
「これを着て翠くんと鉄虎くんと忍くんを連れてきて」
「え?」
放課後、あんずが智に渡したのはリスの着ぐるみ。
「ひとりで行動する練習よ」
「なるほど」
これなら顔も隠せる、瑛智と敬人にばったり遭遇してもすぐ智だと気づかれない。
智は言われるがままリスを着て、パタパタと小走りで1年棟に向かった。
智が1ーA教室の扉を開けると室内は静まり返った。
(……皆引いてる)
とりあえず翠と鉄虎を連れ出そうと教室に入ろうとした。
ギュム
「!」
つっかえた。
「大丈夫?」
翠が声をかけた。
着ぐるみ越しだったが、お互いの顔が近かった。
(っわ!翠くんの顔ってすごい整ってる)
後ろに下がろうとしたら扉からスポッと抜けた。
リスの智を先頭に流星隊の1年生と葵兄弟が廊下を歩く。
トン
「うおっ」
「な、なんだ?」
智は曲がり角で誰かとぶつかった。
ぶつかったのは紅郎、隣にはなずながいた。
2人共突然表れたリスに驚いた。
リスも2人に驚いた。
「智?」
ゆうたがリスの肩を掴むと智はハッとして紅郎となずなにペコリとお辞儀をして走り去った。
「あ、智!」
「どうしたの!?」
1年生がリスを追い掛ける。
紅郎となずなはぽかんとしたまま、1年生たちを見送った。
廊下を曲がると智は止まった。そのまま頬(頬袋)をおさえ、座り込んだ。
「…はぁ、どうしたの?」
追い付いた翠が聞いた。
「智殿?」
忍が駆け寄り、智の顔を覗き込む。
「智、頭取るよ」
ひなたがリスの頭を外す。
智の顔は真っ赤だった。
「………た」
「え?」
「先輩に見られたぁ~」
智は両手で顔を覆った。
「もしかして…恥ずかしかった?」
ゆうたが聞くと智は頷いた。
『(ええ~…)』
桃李は頻繁に「fineのレッスンに来て」と言う。
智がやんわり理由をつけて断ると桃李は少々不機嫌になる。
「今度行くよ」と言うと機嫌を直す。
それに対し、司は何も言ってこなかった。
桃李は瑛智がいるfine。
司は敬人がいる弓道部。
繋がりはある。
だけど性格からか2人は対照的だった。
断る理由を考えるのが大変だが、まだ桃李の方が楽だった。
だからKnightsのレッスンの日、司と直接話すまで、智は少し彼に警戒していた。
話している内に警戒はとけたが、その時になって避けていた内容を持ち出されて動揺した。
敬人だけじゃなく、英智とも繋がっていたことにも驚いた。
司は司で、ずっと話すタイミングを探していたのだ。
優しさに胸が痛かった。
だから司ごと突き放そうとした。
結果、お互い頬をひっぱたき、気まずくなった。
智の恋心に気付いたのは渉だった。
いつの間にか智の背後にいた。
渉がfineのメンバーであることは知っていた。
いつ英智の名前が出るか怯えた。
だけど出てくるのは桃李の名前だけ。
油断した時だった。
「想い人に振り向いてほしいならば、仮面を外しなさい」
渉の悪戯っ子のような笑みに顔が熱くなった。
恐らく初めて目を合わせた時全てを見透かされた。
(恥ずかしい。……でも)
恋に現をぬかしてる場合じゃないと自分に言い聞かせた。
(先に敬人さんに会わないと)
智は覚悟を決めた。
「ねぇ、智ちゃん」
「なぁに?光くん」
「アドちゃん先輩のこと嫌い?」
光の質問に智は首を傾げた。
聞くと光からだと智がアドニスを避けているように見えたらしい。
「光くんと同じくらい乙狩先輩のことは好きだよ」
智はアドニスを嫌ってはいない。
むしろ好きだ。
だけどそこに恋愛感情はない。
智の想い人は別の人物だった。
「アドニス殿ではなかったのか」
颯馬が言った。
「そんなぁ~」
嵐は自分の勘がハズレたことにガッカリした。
「俺はザキさんだと思った」
「……私も」
スバルとあんずが言う。
「じゃあ晃牙ちゃんかしら?」
『初対面でカバンを投げられた』時点でそれはないと、周りは否定した。
2年生たちがそんな会話をしていると、1年生たちは知るよしもなかった。
「これを着て翠くんと鉄虎くんと忍くんを連れてきて」
「え?」
放課後、あんずが智に渡したのはリスの着ぐるみ。
「ひとりで行動する練習よ」
「なるほど」
これなら顔も隠せる、瑛智と敬人にばったり遭遇してもすぐ智だと気づかれない。
智は言われるがままリスを着て、パタパタと小走りで1年棟に向かった。
智が1ーA教室の扉を開けると室内は静まり返った。
(……皆引いてる)
とりあえず翠と鉄虎を連れ出そうと教室に入ろうとした。
ギュム
「!」
つっかえた。
「大丈夫?」
翠が声をかけた。
着ぐるみ越しだったが、お互いの顔が近かった。
(っわ!翠くんの顔ってすごい整ってる)
後ろに下がろうとしたら扉からスポッと抜けた。
リスの智を先頭に流星隊の1年生と葵兄弟が廊下を歩く。
トン
「うおっ」
「な、なんだ?」
智は曲がり角で誰かとぶつかった。
ぶつかったのは紅郎、隣にはなずながいた。
2人共突然表れたリスに驚いた。
リスも2人に驚いた。
「智?」
ゆうたがリスの肩を掴むと智はハッとして紅郎となずなにペコリとお辞儀をして走り去った。
「あ、智!」
「どうしたの!?」
1年生がリスを追い掛ける。
紅郎となずなはぽかんとしたまま、1年生たちを見送った。
廊下を曲がると智は止まった。そのまま頬(頬袋)をおさえ、座り込んだ。
「…はぁ、どうしたの?」
追い付いた翠が聞いた。
「智殿?」
忍が駆け寄り、智の顔を覗き込む。
「智、頭取るよ」
ひなたがリスの頭を外す。
智の顔は真っ赤だった。
「………た」
「え?」
「先輩に見られたぁ~」
智は両手で顔を覆った。
「もしかして…恥ずかしかった?」
ゆうたが聞くと智は頷いた。
『(ええ~…)』
桃李は頻繁に「fineのレッスンに来て」と言う。
智がやんわり理由をつけて断ると桃李は少々不機嫌になる。
「今度行くよ」と言うと機嫌を直す。
それに対し、司は何も言ってこなかった。
桃李は瑛智がいるfine。
司は敬人がいる弓道部。
繋がりはある。
だけど性格からか2人は対照的だった。
断る理由を考えるのが大変だが、まだ桃李の方が楽だった。
だからKnightsのレッスンの日、司と直接話すまで、智は少し彼に警戒していた。
話している内に警戒はとけたが、その時になって避けていた内容を持ち出されて動揺した。
敬人だけじゃなく、英智とも繋がっていたことにも驚いた。
司は司で、ずっと話すタイミングを探していたのだ。
優しさに胸が痛かった。
だから司ごと突き放そうとした。
結果、お互い頬をひっぱたき、気まずくなった。
智の恋心に気付いたのは渉だった。
いつの間にか智の背後にいた。
渉がfineのメンバーであることは知っていた。
いつ英智の名前が出るか怯えた。
だけど出てくるのは桃李の名前だけ。
油断した時だった。
「想い人に振り向いてほしいならば、仮面を外しなさい」
渉の悪戯っ子のような笑みに顔が熱くなった。
恐らく初めて目を合わせた時全てを見透かされた。
(恥ずかしい。……でも)
恋に現をぬかしてる場合じゃないと自分に言い聞かせた。
(先に敬人さんに会わないと)
智は覚悟を決めた。
「ねぇ、智ちゃん」
「なぁに?光くん」
「アドちゃん先輩のこと嫌い?」
光の質問に智は首を傾げた。
聞くと光からだと智がアドニスを避けているように見えたらしい。
「光くんと同じくらい乙狩先輩のことは好きだよ」
智はアドニスを嫌ってはいない。
むしろ好きだ。
だけどそこに恋愛感情はない。
智の想い人は別の人物だった。
「アドニス殿ではなかったのか」
颯馬が言った。
「そんなぁ~」
嵐は自分の勘がハズレたことにガッカリした。
「俺はザキさんだと思った」
「……私も」
スバルとあんずが言う。
「じゃあ晃牙ちゃんかしら?」
『初対面でカバンを投げられた』時点でそれはないと、周りは否定した。
2年生たちがそんな会話をしていると、1年生たちは知るよしもなかった。