14.school life
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転校初日、男子の制服を着た智は驚いた顔をしているあんずにニコリと微笑んだ。
「宜しくお願いします、先輩」
智がそう言うと、あんずも微笑み返した。
「よろしくね、智ちゃん」
智はあんずをじっと見た。
(可愛らしい人、きっと美人さんになるな)
そんなことを智は思った。
教室まで歩きながら、プロデュース科の活動内容を聞いた。
「!」
智は足を止めた。
ふと向けた中庭に英智を見つけた。
英智は智とあんずに気づかずに中庭を出た。
(……嘘)
信じられなかった。
「智ちゃん?」
あんずの声が遠く聞こえた。
その場は笑って誤魔化した。
だが、その日は何も集中できなかった。
気をそらす為、窓の外を眺めていたら、敬人を見つけた。
(……そんな)
それから瑛智と敬人を見かける度、感情が溢れないように必至だった。
早々に帰宅し、そのまま籠ってしまった。
(……なんてこと)
自分から離れた。
なのに、自分からまた彼らに近づいた。
「もう嫌だ」
家から出るのが億劫になった。
また、昼夜逆転の生活になった。
ピンポーン
突然鳴ったインターホン、形だけの柵の外にあんずがいた。
「こんにちは、少しお話しない?」
あんずは優しい声で言った。
智はあんずを家に入れた。
あんずに事情を話すと納得してくれた。
それから智が再び登校するまで、あんずは毎日智の家に足を運んだ。
あんずはプロデューサーの仕事の他、各ユニットのこと、今までのフェスの話をしてくれた。
fine、紅月のことも話すが、英智と敬人の話はしなかった。
話を聞いていくうちに、転校前の夢ノ咲学院への興味が、好奇心が蘇ってきた。
智が登校すると言った時、あんずは顔を輝かせた。
その笑顔を智は眩しく感じた。
翌日。
夢ノ咲学院、1ーA教室。
智があんずに連れられて教室に入ると、若干気まずい空気になった。
皆、智にどう話しかけて良いか解らない感じだった。
あんずに呼ばれたひなたも戸惑っていた。
智はひなたを覚えていた。
初日、何かと話しかけてくれた。
だけど、智は冷たくあしらってしまった。
(悪いことしちゃったな)
智はあの時の態度を反省した。
「本当は賑やかなの、大好きなの」
嘘じゃなかった。
「よろしくね、ひなたくん」
智はひなたに微笑みかける。
ひなたも満面の笑みをした。
「よろしくね♪智」
放課後、ひなたから弟のゆうたを紹介され、あんずがいない時は葵兄弟と過ごすことになった。
智が恋をしたのは突然だった。
葵兄弟に連れられて、部活見学をしていた時だった。
見た目が智の好みど真中だった。
目が合った直後の記憶がない。
気がついたら保健室にいた。
あんずが事情を聞くが正直には言えなかった。
翌日、教室には行けないので、部室に謝りに行った。
あんずに付いてきてもらったが、謝罪が済むとあんずは智を置いて出ていった。
それには智は内心慌てた。
一緒にいたクラスメイトは智の体調不良を信じていて、何の助けにもならなかった。
時間が経った頃、理由をつけて逃げた。
(……緊張したぁ)
初めて英智に会った時以上な気がした。
未だに心臓が騒がしい。
顔が熱い。
『恋をした』と自覚した。
その後、いろいろあって、あんずはびしょ濡れになり、その原因の奏太に智は怯え、翠から離れなくなったりと、周りが少し慌てる騒ぎになった。
智の恋心に気づかなかった。