14.school life
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最初は上手くいかなかった。
智の身体は食物を受け付けるが、量はあまり受け付けなかった。
普段の量も、平均的な1食分も半分以上を残した。
それでも少しずつ空腹を感じるようになった。
すぐ食べられるようにクッキーを焼いた。
(久しぶりだなぁ)
昔、母と一緒に作ったアイスボックスクッキー。
丸
三角
四角
一松
渦巻き
あの頃、冷凍庫にはいろんな柄のアイスボックスクッキーが入っていた。
夏休みの終わりには体重は少し増えていた。
クラスメイトは驚いたが話を聞いてくれた。
何事もなく、日々は過ぎた。
そんな時、担任に職員室に呼ばれた。
「夢ノ咲学院、プロデュース科?」
話を聞きながらパンフレットを見る。
(近くにこんな高校があるんだぁ)
父の仕事は知っていた。
何度か現場に連れて行ってもらった。
それでも「芸能人」兼「学生」の人がどんな学校に通っているかなんて、考えたこともなかった。
その日は返答せず家に帰った。
暫く考えた。
夢ノ咲学院に行くことを決めた。
クラスメイトにも言った。
「そっか、行くのか」
「うん」
入学してすぐに声をかけてきたクラスメイト。
気がつけば毎日一緒にいた。
だから、どうしても伝えたかった。
「今までありがとう」
「元気でね」
『友達』は最後まで笑顔でいてくれた。
夢ノ咲学院では転校生の話で持ちきりだった。
「プロデュース科だから、あんずの後輩だね」
スバルが言った。
「いつ来るの?」
「来週だって」
あんずはまさかその後輩が転校2日目に登校拒否をするとは思ってもみなかった。
ただ転校生が来るのを他の生徒達と一緒に楽しみにしていた。
生徒会室。
英智と敬人は転校生に関する書類に目を通す。
「転校生の名前が智だって」
「……同姓同名だろ」
書類に写真は貼ってなかった。
「そうだね」
そう思っていた。
転校前日。
智は届いたばかりの新しい制服に身を包んだ。
少しゆとりはあるが、きついところはない。
箱からもう一着、制服を出す。
「…本当に送られてきた」
『男子の制服が着たい』
戯れにそんなことを言ったら、女子の制服と一緒に送られてきた。
折角だし、と袖を通してみる。
「おお!」
意外としっくりきた。
ちゃんと着れば品良く見える。
それに動きやすい。
鏡の前に立つ。
「……ああ」
姿見の前に立って気づいた。
まだ成長期だが、それでも智の体は『女』になりつつあった。
もう、男に間違えられることはない。
着やすいが、不自然だった。
「………」
智は制服を脱ぎ、胸に布をあて、また制服を着た。
姿見を覗くと、昔の智がいた。
「……よし」
何かを感じながらも、智は男子の制服を着ることを決めた。