14.school life
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梅雨が明け、夏が来た。
終業式の日の放課後、窓全開の教室、智はクラスメイト達と話していた。
「…にしても暑いね」
智が言った。
暑さのせいか眠れない夜が続いた。
最近、大好きな陽射しがきつく感じるようになった。
今朝も家を出るのが億劫だった。
「智、また痩せた?」
クラスメイトが言う。
「ちゃんとご飯食べてる?」
「食べてるよぅ」
智は鞄を持つ。
「モールで涼もう」
駅前のショッピングモールで買い物をしてそこで夕食にした。
「また新学期にね」
「じゃぁね」
そして夏休み、智の生活は昼夜逆転した。
昼間はカーテンを閉じて陽射しを遮り夕方まで眠った。
日が暮れ始めた頃に起き、家事をした。
洗濯機は乾燥機能付き。
家から一番近いスーパーは24時間営業なので、必要な時に行ける。
夏休みに入ってから智の生活はひきこもりに近い状態になった。
その日は朝から、何やら賑やかだった。
遠く、海の方から音楽が聞こえた。
騒音には程遠く、寝付けない程ではない。
だが、智は眠れなかった。
(お祭り、かな?)
智は窓に近付き、カーテンを開けようとした。
「っ!…眩しい」
目が眩んだ。
夕方。
「………ん」
智はリビングのソファの上で目を覚ました。
いつの間にか眠っていたらしい、肌はじっとりと汗をかいていた。ゆっくり起き上がって時計を見る。
「もうこんな時間」
シャワーを浴びて着替えた。
音楽はまだ続いていた。
何故だろう。
惹き付けられる。
外に出てみようと思った。
カーテンを開けると日は沈んでいた。
海の方角、一角が照明で明るかった。
「彼処か」
智は靴をはき、外に出た。
歩いている途中で音楽が止んだ。
明かりも消えた。
「終わっちゃったか」
智は足を止めた。
海が見えた。
「折角だし、行ってみよう」
再び歩きだす。
智が海につくと、誰もいなかった。
先程までの賑やかな音が嘘のように、静かな波の音だけだった。
空には星が輝いていた。
「………綺麗」
それから夜の散歩が日課になった。
「メシくらい食えよ」
レオの言葉に智は衝撃を受けた。
(ゴハン?)
今日のお昼は何を食べた?
朝は?
昨日は?
その前は?
智は思いだそうとした。
全く覚えていなかった。
そもそも食べただろうか?
家につくと智はミルクティーをマグカップに注いでレンジに入れた。
温まるまでの間、体重計に乗る。
「!!」
数字に愕然とした。
『痩せた?』
『ちゃんと食べてる?』
クラスメイトの言葉を思い出す。
あの時、既に智の身体に変化があった。
智だけが気づかなかった。
温めたミルクティーは甘くなかった。
だけど温かさで、動揺は落ち着いた。
テレビで同じ症状の人を見たことがあった。
智は考える。
ミルクティーを飲んでも何ともなかった。
冷蔵庫を開けた。
買い置きの食材、冷凍食品。
目の前の食物に嫌悪感はない。
チョコレートを一口かじる。
噛んで飲み込む。
罪悪感はない。
(……大丈夫)
智は自分に言い聞かせた。