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『連れてきてほしい子がいる』
英智にそう言われた。
智のことを聞いた敬人は驚きながらも準備をして、言われた場所で智を待った。
智が来たのはその3日後だった。
智はトコトコと敬人のあとを着いてくる。
着いた場所が病院だと知ると智は敬人の袖を掴んだ。
「英智、どこか悪いの?」
不安そうな声で怯えた表情で智は聞いた。
「大丈夫。明日には退院できる」
敬人は安心させるように言うと智の手を引いた。
病室に着くと英智は眠っていた。
敬人は智をイスに座らせると部屋を出た。
智は英智の寝顔を眺めた。
彼ほどの綺麗な顔を智はまだ知らない。
初めて会った時は心臓が騒がしかった。
生まれて初めてのことだった。
今はもう落ち着いている。
自分より白く、細長い英智の指に触れた。
指に温もりを感じて英智は目を開けた。
最初に見たのは悲しげな智の顔だった。
「智」
呼ぶと智は此方を向いた。
「来てくれたんだ」
家にいれば智を待つことができるが、病院ではいくら待っても智は来ない。
すぐに退院できると解っていても、我慢できなかった。
だから敬人に頼んだ。
でも敬人を怖がって来てくれないことも考えた。
来てくれて嬉しかった。
「英智」
智の声が悲しそうだった。
「約束を破ったこと、怒ってる?」
智は横に振った。
「しかたないよ。それに、あのお兄さんは大丈夫な気がした」
「そう」
英智は微笑み、起き上がると智の頭を撫でた。
「智、今日はどんなことがあったの?」
「え?」
「話して。いつもみたいに」
今度は会う日時を約束して智は帰った。
「可愛いよね」
「……男かと思った」
敬人が言うと英智は笑った。
「智はね、心が綺麗すぎるんだよ」
英智は遠くを見るように言う。
「きっと数年後も可愛いと思う。心もそのままでいてほしい」
敬人は小学生とは思えないしかめっ面をした。
「ずっとは無理だと思う」