12.「弓弦」と「桃李」
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2-A教室。
「ねぇ、あんず」
「何ですか?桃李くん」
「智がね…」
最近、桃李がよく智の話をしにくる。
「そしたら司と葵がね…」
弓弦にはざっくばらんに話すが、あんずには細かく話す。
あんずは微笑みながら、相槌をうちながら聞く。
「桃李くんは智ちゃんをよく見てますね」
「だって智が大好きだもん!」
「そうですか」
あんずはニッコリする。
「来週のfineのレッスンには智ちゃんも一緒ですからね」
あんずがそう言うと桃李は笑みを深めた。
「智はさ、彼氏いるのかな?」
桃李が帰った後、スバルが聞いた。
瞬間、周りが静かになった。
桃李はその部分は話さなかった。
あんずは首を傾げる。
「さあ?聞いたことないなぁ」
「告白も断ってるし。いっそいるか、いないか解れば皆諦めがつくんじゃない?」
『(諦める前提なんだ)』
「それもそうね」
あんずは同意した。
目の前の問題が終わったら、智と甘酸っぱい青春、それらしい話がしたいなぁと、あんずは思った。
(まずは、来週ね)
あんずは手帳に印をつけた。
「智」
「何?司くん」
「……fineのLessonに行くというのは本当ですか?」
「本当だよ」
司は不安そうな顔をするが、逆に智は笑顔だった。
「大丈夫だよ」
「しかし」
「悪いのは私だもん。私から会いに行かなきゃ」
『あんなこと、言うべきじゃなかった』
智と先輩、2人の間に何があったのか、司は知らない。
ただお互い後悔していることはわかった。
「ねぇ司くん、弓道部の道場に行っても良い?」
弓道部道場。
司と智は向かい合って座っていた。
「あの人が近くにいたの。……でも逃げちゃった」
「そうですか」
「当日もそうなったら、どうしよう」
智は俯く。
先程とは逆に不安そうな顔をする。
今、司しかいないから出せる表情。
「智、弓を射ってみませんか?」