12.「弓弦」と「桃李」
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智が転校してきてから桃李の様子がおかしかった。
何もしていても上の空だったり、時折考えこんだりしていた。
突然アルバムを引っ張り出してきた時には驚いた。
「何をなさってるのです?」
「探してるの」
「どなたを?」
「智」
今まで見ていたアルバムを置いて次のアルバムを開く。
結局、全てのアルバムを見ても智らしき人物はいなかった。
「なかった」
桃李は頬杖をついて、ため息をつく。
「…何処で会ったんだろう」
「以前、智さんにお会いしたことがあるのですか?」
「多分。でもそうなら、忘れるはずない」
桃李は断言した。
暫くは悶々としたり、苛々したりと忙しかったが、段々と落ち着いてきた。
ある日、桃李は上機嫌だった。
「ご機嫌ですね」
「智がね…」
桃李の話によると智はよくB組に来て、必ず誰かとたわいない話をするらしい。
「今日も智と話せた」
そう話す桃李は終始機嫌が良い。
相当智のことが気に入っているらしい。
「司と喧嘩したみたい」
「葵たちが入れ替わってたの、最後まで気づかなかったの」
「あんずとね、お菓子作ったんだって」
その日あったことを、ひとつひとつ大切に話す桃李。
だが、弓弦はまだ智にちゃんと会ったことがない。
智が2-B教室に来ている時に限って弓弦は教室にいなかった。
何度か桃李と一緒にいるところを見かけた。
「可愛らしい方ですね」
そう言ったら桃李に睨まれた。
智が男子生徒から告白された。
智は断った。
1-B教室。
「智また告白されたって?今度は何年生?」
「確か…3年生」
桃李が聞くと、智が思い出しながら言う。
「最近多くない?」
「うん、だからこっちに来てるの」
プロデューサーの仕事に支障をきたす為、B組に避難中の智。
仕事の話なら教室に残っているクラスメイトが報せてくれる。
「ねぇねぇ、智ちゃんはさ、彼氏いるの?」
光の言葉に周りがざわついた。
「そういや」
「知らないね」
「断る時も触れないし…」
口々に言う。
皆、智を見る。
「いるの?いないの?」
「光くん、失礼ですよ。で、智、どうなんですか?」
「俺も気になる!」
司とひなたが乗っかる。
『………』
桃李、ゆうたが3人に冷たい視線をおくる。
「いないよ」
智はこたえる。
「じゃあ、タイプは?」
ひなたが聞いた。
「タイプが解れば皆諦めがつくんじゃない?」
「諦める前提なんだ」
ゆうたが言った。
「秘密。今は仕事に専念したいよ」
智は言った。
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