10.「颯馬」と「アドニス」
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「どうすれば智に好かれるだろうか」
アドニスがそう言った時、あんずは一瞬ぽかんとしたが、すぐに意味を理解した。
「智ちゃんはアドニスくんのことは嫌ってはないよ」
「鳴上もそう言っていた」
「恥ずかしがり屋さんなんだよ」
「それも鳴上が言っていた」
「う~ん」
あんずは困った。
智のことは事実だ。
だが、アドニスは少なからずショックなようだ。
「あんずは、何をされたら喜ぶ?」
「え?」
智の話をしているのに、何故、あんずのことになったのか?
「参考に教えてほしい」
(ああ、なるほど)
あんずは考えた。
「気長に待ってあげて」
「待てば良いのか?」
あんずは頷く。
「無理に追いかけると、カバンが飛んでくるよ」
2ーB教室。
晃牙がクシャミをした。
「あら風邪?」
「季節の変わり目だからなぁ」
嵐と真緒がグラウンドを見ると体操服姿の智たちがいた。
「え!?午後体育!?」
つい先程まで熱中してバスケをしていたことを思い出す。
「元気ねぇ~」
放課後。
「ねぇ、智ちゃん」
「なぁに?光くん」
「アドちゃん先輩のこと嫌い?」
「…そんなことないよ」
「じゃあ何で避けてるの?」
「それは……」
智は暫く黙った。
「光くん、耳貸して」
智が耳元で囁くと、光は目を輝かせた。
数日後。
智は再び男子の制服で登校した。
すっかり見慣れた格好に最初、誰も気づかなかった。
変わらない日常、でも変化がひとつ。
2ーB教室。
「お姉ちゃん、あれ見て」
あんずが窓の外を指差す。
嵐はそちらを見ると目を丸くした。
「あらまあ」
智がアドニスと2人きりで歩いていた。
時々、アドニスが話しかけると智は首を縦か横に振って返事をした。
『乙狩先輩たちはカッコイイから緊張する』
智は光にそう言った。
『光くんと同じくらい乙狩先輩のことは好きだよ』
「光くん以外の人が聞いたら、勘違いしてたかも」
「そうね」
光は智との会話をあんずと嵐だけに話した。
あとは、どうアドニスに伝えるかだったが、暫くしてその必要はなくなった。