8.「凛月」と「友也」
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それを見たのは偶然だった。
あんずが智に封筒を渡していた。
「クラスの人から預かったの」
「?」
智は封筒を開ける。
中に入っていた紙を読み、封筒に戻し、あんずに返した。
そして首を横に振った。
「わかった。伝えておくわ」
あんずは封筒を受け取る。
「すみません」
智が小さく言って走り去った。
あんずは封筒を見つめ、ため息をついた。
「あんずさん?」
「きゃっ」
友也の声にあんずは驚いた。
「友也くん」
「智、どうしたんですか?」
「な、何が?」
あんずは誤魔化そうとする。
「見てました」
友也が正直に言うと、あんずは困った顔をした。
「誰にも言わない?」
あんずが強い口調で聞いた。
友也は頷く。
「智ちゃん宛の恋文よ」
「……恋文って何ですか?」
あんずはジェネレーションギャップを感じた。
「えっと…ら、ラブレターよ」
「ラ、ラブレター!?」
「時々頼まれるの。でも智ちゃん、毎回同じ反応」
あんずは頬に手をあてる。
「これで何人目かしら」
智が司と気まずい雰囲気のまま数日経った。
「でね、司くんと仲直りしたくて、凛月ちゃんに相談に行ったの」
「うん」
「なのに凛月ちゃん、全然話聞いてくれなくて…」
「うん」
相手は相槌をうつ。
欠伸を繰返し、相談にのってくれない凛月に、智は段々不機嫌になってきた。
嵐に宥められ、椅子に座ると凛月と目が合った。
すると凛月はニッコリした。
『ねぇ、智…』
「いきなり『膝枕して』とか言うし」
「……はぁ」
それを聞いた智は机を凛月ごとちゃぶ台返しのようにひっくり返した。
そして教室を飛び出した。
「…昔は憧れだったのに」
「……」
「あんな我儘な甘ったれに育つなんて…」
「……」
「聞いてる?ひなたくん!」
「…うん、聞いてるよ」
ひなたはぎごちない笑顔で言った。
「気付いてないッスね」
「ゆうたくんなのにね」
鉄虎と翠が言った。
ピンクのヘアピンとヘッドホンをしているが、智が話している相手はゆうただった。
昼休み、智が2年の教室に行っている間に入れ替わった。
ターゲットは智だけなのでクラスメートの前で堂々とヘアピンとヘッドホンを取り替えた。
そして智は入れ替わっていると気付かず、『ひなた』として声をかけてきた『ゆうた』に愚痴をこぼした。
凛月と智が面識があるというのは聞いた。
再会を喜んでいるところを見ると、智が会いたくない人物ではない。
2年の教室には普通に通っている。
そうなると、残るは3年生になる。