8.「凛月」と「友也」
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『習い事は楽しいよ。学校じゃ習わないことが学べるし』
キラキラと輝く瞳にだんだんと影がおちていく。
『でもね、友達に会えないのが寂しい』
小さい、幼い顔が悲しそうに笑う。
『ワガママだよね』
『ワガママじゃないよ』
そう凛月は言った。
「おい凛月」
ガーテンテラスで寝ていた凛月は肩を揺さぶられ、眉をよせながら目をあけた。
見えたのは幼馴染みの顔。
「まーくん」
「智に会うんだろ?早く行くぞ」
「うん」
凛月は欠伸をしながらゆっくりと立ち上がった。
(……また昔の夢)
カチャ
凛月と真緒がレッスン室に入ると、鬼がいた。
パタン
凛月の後ろで扉が閉まった。
真緒はいなかった。
再び扉が開き、次いでバダバダとふたつの足音が廊下に響いた。
「衣更先輩、助けてぇ!」
「無理!」
「真緒ちゃん、あんずちゃんを止めて!」
「だから無理だって!」
智にしがみつかれ、嵐に引きずられながら、真緒はレッスン室に連れ戻された。
智が真緒にしがみついて離れないので、真緒は逃げることを諦めた。
部屋の角に移動し、あんずを見る。
あんずは普段、無口で無表情に近い。声のトーンでその時の気分がなんとか解る程度。
今、あんずは笑顔だった。
ニコニコと花のよう。
笑顔が見れれば、何か嬉しいことがあったのかな?と周りまで笑顔にしてしまう。
後ろに般若が見えなければ…。
あんずの前にはレオが正座させられていた。
「何があった?」
真緒が聞く。
嵐が頬に手をあてた。
「実はねぇ…」
智に抱きついたレオは眉をよせた。
『う~ん、相変わらず細いなぁ。智、あんずみたいに太れ!』
「怖っ!」
ただでさえ機嫌が悪いあんず。
その原因になった人物にそんなことを言われたら、もう穏やかではいられない。
「それが、1時間前。それからずっとあの状態」
嵐が言う。
両手を挙げて降参のポーズをした。
「アタシと智ちゃんじゃ、どうにも出来ないの」
「スーちゃんは?」
凛月が聞いた。
「論外です」
応えたのは智だった。
あんずの背後に般若が現れた途端、司は倒れてしまった。
智は一瞬、凛月と目が合ったが、すぐにそらして真緒の後ろに隠れた。
「?」
凛月は首を傾げた。
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