7.「嵐」と「レオ」
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夢ノ咲学院、レッスン室。
「駄目じゃない!女の子がそんな時間に出歩いちゃ!」
「………ごめんなさい」
嵐が怒ると智はシュンと俯いた。
「まあまあ、お姉ちゃん」
あんずが嵐を宥める。
先程と立場が逆になっている。
(でもまさか、そんな時間に散歩してたなんて)
あんずも内心驚いた。
以前、忍から聞いた、智を見かけた時間は20時頃だった。
もっと遅い時間だったらやんわり注意するつもりだった。
しかし、レオが智と会ったのは日付を跨ぐ時間帯だった。
「Leader!そういう時は家まで送るのもですよ!」
司が言うと、レオは五月蝿そうに耳を塞いだ。
智とレオが知り合いだとわかり、好奇心で少し話を聞いた結果、2人は嵐と司に説教されてしまった。
夏休みとはいえ、高校生が散歩する時間ではない。
よく一度も補導されなかったものだ。
そして気になることもある。
「智ちゃんのご両親、そんなに帰りが遅いの?」
あんずの問いに智は顔をあげた。
「両親は春から海外にいます」
「え?じゃあ、今、一人暮らしなの?」
「はい」
あんずは何度も訪れた智の家を思い出す。
綺麗に手入れされた庭。
室内は掃除も行き届いていた。
あの家で、智は
ひとりで家事をして、
ひとりで庭を整えて、
ひとりで寝起きしている。
(……あの人は、知ってるの?)
司に説教されながら、レオは時折智を見た。
レオが学院に行き始めた頃、転校生の噂があった。
最初、あんずのことだと思っていた。
だけどそのあんずから転校生の話を聞いて、違うとわかった。
それが智だとは思ってもみなかった。
夜、智は最初、昔の話をした。
習い事の話が多かった。
楽器、舞踊、作法、語学……。
ほとんどが見学だけだった。
夏休みが終わっても度々会った。
昼間は何をしているのかは知らなかった。
暫くして、転校すると言った。
その頃には少しだが肉がついて、浮いていた骨も、前より目立たなくなっていた。
自分は男子校だから、智が転校するのは別の学校だと思っていた。
だから、智が噂の転校生だと知って驚いた。
初めて太陽の下で会った智は別人のようだった。
陽の光で輝く髪と瞳。
少し赤みがある肌。
さくらんぼのような唇。
長袖を着ていれば、智はそれなりに健康的な少女に見えた。
「Leader!聞いているのですか!?」
「ああもう、うるさい!」
レオは司から逃げ、助けを求めるように智に抱きついた。
「っわ」
智はよろめいた。
服の上からでもわかる、細すぎる感触。
(……ああ、やっぱり智だ)
それでも、その肌はもう冷たくなかった。
To be continued.
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