7.「嵐」と「レオ」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
レオはふと肩に重みを感じた。
見ると智がレオに寄りかかって眠っていた。
今より暑かったり寒かったりすれば起こしたが、レオはそのまま寝かした。
レオは智の髪に降れた。
艶がない、パサパサの髪。
使っているシャンプーが合わないのか、あまり手入れをしていないのか。
レオはどちらでもないと解っていた。
身体の栄養が足りてない。
智を抱き上げた時、あまりにも軽すぎた。
骨と皮の感触しかなかった。
余分な脂肪どころか、必要な筋肉もない。
だから真夏の夜なのに智は寒そうにしていた。
おろす時、骨が折れるんじゃないかと内心ヒヤヒヤした。
自分も同じようになりかけた。
だから智を放っておけなかった。
甘いミルクティーを差し出した時、智は躊躇わず受け取った。
『ありがとう』
向けた笑顔は本物だった。
ダイエットをしていたら、まず受け取らない。
過度のダイエットが原因ではない。
智の身体は痩せすぎて悲鳴をあげている。
それでも、食欲をなくす程に辛いことがあった。
「お前は、何があったんだ?」
その呟きは波の音に消えた。
目を覚ました時、智は一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった。
(……あ、寝ちゃった)
漸く海に来ていると思い出す。
何か、暖かい物に寄りかかっていると気づき、顔をあげた。
すぐ近くにレオの横顔があった。
「あ、ごめん」
智はレオから離れた。
しかし、レオは智に気づかなかった。
俯き、真剣な顔でノートに何か書いていた。
まだ視界がぼやけて、ノートの中身は見えない。
智は再びレオを見る。
星を綴じ込めたように、瞳が輝いている。
作業を楽しんでいる。
智は羨ましく思った。
自分はもう、何も楽しめない。
智の視線に気づいたレオと目が合った。
「起きたか?」
智は頷く。
ミルクティーはすっかり冷えていた。随分と寝ていたらしい。
レオは立ち上がった。
「おれはもう帰るけど、お前はどうする?」
智は目をこする。
「ん、オレも帰る」
2人は暫く並んで歩いた。
分かれ道で止まった。
「じゃあ、オレこっちだから」
智はそう言って歩こうとしたが、レオに手首を掴まれた。
「……お前さぁ、メシくらい食えよ」
その言葉に智は驚いた。