7.「嵐」と「レオ」
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レオは智に近づいた。
智は驚いて後ろにさがろうとした。
しかし柔らかい砂に足をとられて、うまく下がれなかった。
本当は立ち上がって走りたかったが、力が入らなかった。
レオは手を伸ばして智の頬に触れた。
そこにいると確認するように。
智の肌は冷たかった。
まるで冷蔵庫から出てきたばかりのように冷えていた。
智は完全に固まった。
真っ直ぐ見つめられて目を反らすこともできなかった。
ただレオの手から、指先から熱を感じた。
他人の体温を久しぶりに感じた。
涙が溢れた。
『!?』
2人とも驚いた。
どうして少女は泣いている?
どうして自分は泣いている?
智は泣き続けた。
俯き、肩を奮わせ、背中を丸めて、身体中の水分がなくなるじゃないかとくらいに、涙は止まる気配はなかった。
レオは智は抱き上げた。
智は暴れたりせず、おとなしかった。
(軽いなぁ)
レオは先程自分が座っていた場所智を座らせた。
レオが手を離すと、今度は智がレオの手首を掴んだ。
手もゾッとするほど冷たかった。
智はハッとして手を離した。
「すぐ戻る」
そう言って、レオは離れた。
智は浴衣にくるまり、膝を抱えていた。
(……何してんだろ、オレ)
着地に失敗して、転んだところを知らない人に見られた。
泣いてしまった。
触れられた頬がまだ熱かった。
温もりが心地好くて、離れようとした手を咄嗟に掴んでしまった。
(恥ずかしい)
そして「すぐ戻る」という言葉を信じて待っている。
暫くするとレオが戻ってきた。
「ほら」
レオが差し出したのはミルクティーの缶。
受け取ると温かかった。
「ありがとう」
智が礼を言うとレオはニッコリした。
温もりを逃がさないように、両手で缶を握りしめた。
レオが隣に座る。
「俺はレオ。お前は?」
「………智」
少し躊躇ったが名乗った。
「此処にはよく来るのか?」
智は首を横に振る。
「たまたま」
「そっか」
それからお互い黙った。
智は海を見ていた。
目を閉じたら、そのまま眠ってしまった。