7.「嵐」と「レオ」
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智と嵐は校舎を出て、中庭を歩いていた。
嵐は辺りを見回して何かを探していた。
(何を探してるのかな?)
視線に気づいたのか嵐が智を見る。
目が合いそうになると、慌ててそらす。
先程からその繰り返しだった。
智は落ち着かなかった。
嵐の、芸術作品のような、凛とした美しさにドキマギしてしまう。
前の学校は女子校だったが、中学は公立で共学だった。
男子ともそれなりに話ができた。
でもそれは同級生だからで、先輩となるとどうしても緊張する。
晃牙の時もそうだった。
失礼になるが、目を合わすのも難しい。
だから、俯くしかなかった。
そんな智を嵐が見つめる。
(全然此方を見てくれないわねぇ。……それにしても)
「本当に、何処にいるのかしら?」
嵐はため息をついた。
「会いたいって言ったのは王さまなのに…」
「……王さま?」
智が顔を上げて、ぽつりと言った。
智と目が合うと嵐はニッコリした。
「そうよ。Knightsのリーダー」
月永レオ
(…レオ………王さま…)
智は眉を寄せる。
似たような人を知っていた。
「智ちゃん?」
「あ、えっと……同じ名前の知り合いがいて」
(……知り合い、になるのかな?)
智は首を傾げる。
「あら、そうなの?」
「はい」
「どんな人?」
嵐は興味津々に聞いた。
やっと智と会話ができるのを喜ぶ。
「うーんと、髪色が明るくて少し長め、体型は鳴上先輩より小柄」
「顔は?」
「年上ですが、可愛らしい感じです」
「それでそれで?」
「いつも紙に何かを書いてます。その時の姿は素敵なんですけど…」
智は言いづらそうに言う。
「…ちょっと変わってて」
「変わってる?」
「挨拶が『うっちゅ~』?…とか、突然『霊感がわいてきたぁ』とか『オレは天才だぁ』とか叫んだり…」
嵐の表情が固まった。
(まさか)
「あっ!あの人です!」
智が目を大きく見開いて指さした方を見る。
(…………やっぱり)
夕日色の髪、幼さが残る顔。
近くにベンチがあるにも関わらず、地べたに座りこみ、紙にペンを走らせていた。
背中を丸めている為、華奢な体がさらに小さく見える。
Knightsのリーダー
月永レオ
「王さま、そんな所にいたの?」
嵐はレオに歩み寄る。
智はキョトンとする。
「レオが、Knightsのリーダー?」
レオは譜面におりた影に気づき、顔をあげた。
「あ、ナルだ!うっちゅ~☆」
「もう!王さまったら。あんずちゃん、怒ってるわよ」
レオはキョトンとする。
「あんずが?珍しいな」
「貴方のせいよ!」
「レオ」
名前を呼ばれ、智に気づくと、レオは目を見開いた。
「…お前、智か?」
「この時間に会うのは初めてだね。同じ学校だったなんて、驚きだよ」
智は俯いて、体を縮こませて、ちょこちょこと可愛らしく嵐の後をついてきた先程の姿勢とは違っていた。
背筋を伸ばして堂々と、笑みを浮かべて、先程より歩幅も少し広げて歩き、嵐の横に並ぶ。
その姿は嵐の目に美しく映った。
(不思議な子ね)
嵐は散らばった楽譜を集める。
「ほら、早く行きましょ。智ちゃんも手伝って」
「はい」
レオは動かなかった。
楽譜を集める智をじっと見つめる。
「王さま?」
「あ、ああ……解った」
レオも楽譜を集め始めた。
To be continued.