5.「翠」と「スバル」
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中庭の木陰で眠っている智を見つけた。
随分懐かしく感じる。
あんずが忙しそうにしていた。
智が関係していると解っていた。
レッスンにも連れてこなかった。
智に避けられていることも解っていた。
それでも遠くから見ていた。
クラスメート達と話す、無邪気な笑顔。
全てを吸収する、輝いた瞳。
自分にはもう向けてくれない。
近付くことも、触れることもできない。
せめて今だけ…。
「少し、痩せたね。髪も伸びた」
小さかった智。
それでも力強かった。
少しも変わっていない。
安心した。
同時に悲しかった。
もし時間を巻き戻せるなら、あの頃に戻りたい。
そしてあの時、君に言った言葉を無かったことにしたい。
そして聞きたい。
何故、嘘をついてまで、自分から離れたのか…。
************
「智、起きて」
誰かに肩を揺らされ、智は目をあける。
「ゆうたくん?」
智は辺りを見渡す。
まだ陽はあるが、気温は下がっていたのか冷えていた。
「風邪ひくよ」
「うん、ありがとう」
差し出された手を智は掴んだ。
「ねぇ、ゆうたくん、さっき誰か来た?」
「さあ、俺も今来たところだし」
「そうだよね。変なこと聞いてごめんね」
ゆうたは嘘をついた。
眠っている智を見つめる人物を見た。
智に触れようとして、止めた。
悲しそうな顔。
すぐに解った。
智が避けている人だと。
(あの人が…)
胸がざわついた。
To be continued.
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