5.「翠」と「スバル」
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翌日。
智はレッスンの準備があるからと担任に許可を貰い、早めに退室した。
レッスンで何をするのか、翠も鉄虎も聞いていない。
「何するんスかね?」
「さあ、………帰りたい」
「駄目ッスよ」
「帰りたい」というのは半分口癖で、智が何をしているのか気になっていた。
しかし、その考えは突然の訪問者によって打ち切られた。
バーン!
突然開いた扉。
そこにいたのは、某CMに出ているリスに似た着ぐるみ。
教室内は静まり返った。
ギュム
『!?』
生徒達がギョッとする。
リスが教室に入ろうとしている。
しかし、膨らんだ頬袋、ポッコリお腹、大きな尻尾がつっかえてしまう。
リスは両腕を上下にパタパタと動かした。
生徒達はリスに怯えて動かない。
ひなたさえも机に頬杖ついたまま、ぽかんとしていた。
そんな中、翠がリスに近づいた。
「だ、大丈夫?」
翠が声をかけるとリスはスポッと扉から離れて廊下に出た。
ムギュムギュと頬袋とお腹の形を直す。
(かわいい)
決してゆるキャラでもない。
何かのマスコットでもない。
ただの着ぐるみ。
翠はリスを撫でてみようと手を伸ばした。
パフッ
リスが翠の手を両手で挟んだ。
「え?」
リスは翠の手を片手でギュッと握り、そのままトコトコと歩き出す。
「え!?何処行くの?」
リスは喋らない。
翠とリスが着いたのは隣の1年B組の教室だった。
先ほどと同じようにリスは勢いよく扉を開けた。
バァン!
「っわぁ!」
「な、何!?」
「リス!?」
A組と違ってB組はかなりざわついた。
ガタガタと音もする。
リスはジィッと教室内を見る。
翠も教室を覗く。
ゆうたがひなたと同じ姿勢、同じ表情をしていた。
リスは目当ての人物を見つけたらしく、翠の制服の袖を引っ張る。
そしてある人物をビシィと指差した。
「ひぃ!」
差された相手は短い悲鳴をあげた。
「………忍くん?」
リスは忍を指差しながら翠の袖をクイクイ引っ張り続ける。
「忍くんを連れてくれば良いの?」
翠が聞くとリスが頷く。
(…なんて説明しよう)
そう考えながら、翠は教室に入った。
「翠くん、あのリスは?」
忍が聞く。
「智だよ」
翠はあっさりと答えた。
「何であんな格好してるの?」
ゆうたが聞いた。
「知らない」
リス、智は近付いてきた桃李と話していた。
着ぐるみの頭は大きめだが、桃李と智の身長は同じくらいだとわかる。
智は桃李の頭をワシャワシャと撫でまわしたり、ハグしたりしていた。
「なんか、楽しそうだね」