4.「なずな」と「奏汰」
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「ようこそ、テニス部へ」
なずなは笑顔で智と葵兄弟を迎えた。
「……あの~、他の部員は?」
ゆうたが聞いた。
テニスコートには、なずなと智、葵兄弟の4人しかいなかった。
「それぞれ用事だ」
なずなは智にラケットを渡す。
「テニスの経験は?」
「授業で少しだけ…」
「なら、軽くラリーをしよう」
葵兄弟にもラケットを渡す。
「2人も隣のコートを使ってくれ」
「良いんですか?」
「見てるだけじゃ、退屈だろ?それじゃあ、始めようか」
「見つけたぁ!!」
『!?』
全員が声のする方を向いた。
桃色の髪に若葉色の瞳、可愛らしく整った顔立ちをした生徒が立っていた。
「あの子は?」
「姫宮桃李くん、ゆうたくんと同じB組だよ」
ひなたが応えた。
桃李はテニスコートに入り、真っ直ぐ智の方に歩み寄った。
そしてガシッと智の手を掴んだ。
桃李は目を輝かせ、ニコニコしてる。
智は目をぱちくりさせる。
「行くよ」
「え、何処に?」
「レッスン」
「!待ってよ、姫くん」
智を引っ張って行こうとする桃李をひなたが止めた。
「今日のfineのレッスンにはあんずさんが来てるんでしょ?」
「そうだけど、会長も日々樹先輩も智に会いたがってるの。だから連れてくの!」
『日々樹先輩は絶対駄目!』
葵兄弟の脳裏にあんずの言葉が甦る。
((っやばい!!))
「こらっ、桃李くん!」
「あ、あんず!」
あんずがテニスコートに入ってきた。
桃李智はの手を放し、笑顔であんずに駆け寄った。
「智いたよ!」
「そうですね。でも連れて行きませんよ」
「ええ!なんでぇ!?」
「テニス部の見学は前から決めていたからです」
「…むぅ」
桃李は膨れるが、あんずは気にしない。
「ほら、レッスンに戻りますよ」
(日々樹先輩が来る前に)
あんずは桃李を連れて行った。
「行っちゃった」
「うん」
「…良かったぁ」
(日々樹先輩が来る前で)
葵兄弟はほっとした。
(……良かったぁ。智には聞きたいことあったし)
なずなもほっとした。
暫くラリーをしたり、ダブルスをしたり、またラリーをした。
「今日はもういいかな。ちょっと智に取材したいんだけど」
「取材、ですか?」
「そう」
なずなはチラリと葵兄弟を見た。2人はラリーに集中していた。
なずなは取材用のノートを出す。
「女子はあんずと智しかいないからな。顔には出さないが、皆、興味津々なんだ」
パラパラとページをめくる。
「いくつか質問を…」
智を見て、なずなの言葉が途切れた。
智は笑顔だったが、眼は笑っていなかった。
「ごめんなさい。私はただの高校生ですから」
そう言い、智は葵兄弟の所に行った。
声も瞳も氷のように冷たかった。
(…なんだ…今の)
なずなは背筋が寒くなるのを感じた。
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