3.「教室」と「環境」
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日の出前の早朝、水季はパジャマ姿で裏庭に立っていた。
右手には短刀を握っていた。
左手で自分の髪を一房つまんだ。
ザクッと短刀で髪を切った。
短刀を置いて、傍にある扇子を持つ。
扇子を開き、切った髪を空に投げ、風を送った。
髪が空を舞うと雲が厚くなり、地面に落ちると同時に雨が降りだした。
パキッ。
「!」
水季は扇子を見る。
ひびが入っていた。
「そろそろ変え時か」
水季は扇子を畳み、家の中に入った。
雨の音で翠は目を覚ました。
(……雨?……!)
飛び起きて窓を開ける。
ザアァーー
予報では晴れだった。
だが目の前では雨が強く地面を叩いていた。
「……水季」
翠は震える声で、悲しげな顔で水季の名を口にした。
普通科。
2年教室。
「あ、水季、おはよう」
「おはよう」
友人に挨拶を返し、水季は席につく。
「ねえ、放課後空いてる?買い物付き合ってよ」
水季は頷く。
「良いぞ」
「ありがとう!」
友人はニッコリすると携帯を操作しはじめた。
(昼頃に一旦止めるか)
水季は窓の外を見た。
アイドル科。
1-A教室。
「予報では晴れだったのに」
友也が言った。
「でも雨なんて久しぶりだよね」
ひなたも窓から空を見る。
翠は携帯を見た。
『昼には止む』と水季から来ていた。
その意味を翠は理解していた。
それが、翠が水季を嫌いな理由のひとつだった。
昼休み。
あんずは普通科の廊下を歩いていた。
普通科の生徒たちはチラチラとあんずを見るが、本人は気にしない。
否、気づいていない。
「あ、水季ちゃん!」
「おや、あんず。何故此方に?」
「弟に用事があってね」
少し話をして、2人は別れた。
音楽室。
水季は中に入ると誰もいないことを確認した。
今朝、雨を降らした時に使用した扇子を開く。
窓に向かって大きく扇いだ。
それを何度か続ける。
バキッ!
「!」
扇子が折れた。
「…はぁ」
窓の外を見る。
雨はいくらか弱まっていた。
「放課後には止むだろうか」
扇子をしまい、水季は音楽室を出た。
暫くして、雨は止んだ。
アイドル科。
1-A教室。
午後の授業中、翠はちらりと窓の外を見た。
雨は止んでいたが、まだ雨雲があった。
(放課後、また降るのかな?)
そうならなければ良いと、翠は思った。
放課後。
2-A教室。
「今にも降りそうだな」
北斗が言った。
あんずも窓の外を見る。
「これから買い物に行くって言ってたけど、大丈夫かしら?……あの2人」
「あんず~」
扉のところに桃李がいた。
「どうしたの?」
あんずが桃李のところに行く。
「最近、智がかまってくれない!」
「あらあら」
桃李は智が紅郎と付き合うことになっても、めげずにアタック中。
「今日も誘ったのに用事があるって、絶対、鬼龍先輩のところだよ~」
あんずに愚痴る桃李を北斗は2人を暫く見ていた。
ふと窓に目を戻すと智と紅郎を見つけた。
買い物リストらしきメモを見ながら話す2人。
「別れれば良いのに」
「そういうこと言わないの」
あんずは桃李の頭を撫でて慰める。
北斗は今見たことは黙っていようと決めた。
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