番外編1.one-sided love.Ⅰ
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【朔間凛月編】
たった一度会っただけだった。
再会するまで忘れていた。
「凛月ちゃん」
悲しげな顔をしていたあの頃と違って愛らしい笑顔を見せる智。
(ああ、女の子なんだな)
そう凛月は思った。
「司くんと喧嘩しちゃった」
ションボリと話す智。
司とのことは、嵐から聞いていた。
現場は智の方が優勢だったらしい。
仲直りしたいと智は言う。
喧嘩の原因を凛月はしらない。
あんずによれば司も智と仲直りしたいらしい。
だから凛月はどうにかなるだろうと思った。
「ねえ智、膝枕して」
笑顔でそう言ったら智は怒って教室を出てしまった。
「凛月」
「凛月ちゃん」
真緒には呆れられ、嵐には怒られた。
ガーデンテラス。
いつものように寝ていた凛月は誰かが近付く気配を感じた。
「凛月ちゃん?」
控えめな智の声。
智はすぐそばに座った。
凛月は髪を触れられる感覚がした。
「わぁ、サラサラ」
昼間のことがあったのに、楽しそうな声。
くすぐたかったくて、笑いそうになるのを堪える。
「ごめんね、凛月ちゃん」
一変して悲しそうな声。
うっすら目を開けて智を見ると、あの時と同じ泣きそうな顔をしていた。
髪に触れている手をとれば、驚いた顔をした。
(泣かないで)
引き寄せて、抱き締めた。
歯があたったのは偶然だった。
後にそのことで、あんずから怒られた。
数日後。
2-B教室。
智に好きな人がいるらしい。
そんな噂が2年棟に流れていた。
「ねぇ、凛月ちゃんは誰だと思う?」
嵐が聞いた。
「……興味ない」
凛月は席を立ち、教室を出た。
何故か苛立ちがおきた。
智が誰を好きになろうと関係ない。
智が悲しい思いをしなければ、泣かないならそれで良い。
そう凛月は思っていた。
すると廊下の向こうから智が小走りできた。
「こんにちは、凛月ちゃん」
智は笑顔で挨拶する。
「こんにちは、智。……傷は、大丈夫?」
「う、うん」
智は首をおさえた。
「凛月ちゃん、衣更先輩は教室にいる?」
「いたよ。まーくんに用事?」
今、智を教室に行かせたくなかった。
「いない」と応えれば良かったと思った。
(矛盾してるな)
智に心を乱されてばかりな気がする。
きっと智本人は気づいてない。
「おいで、智」
凛月は智の手を優しくとって、来た道を引き返した。
智は抵抗したり、振り払ったりしなかった。
そのことが嬉しかった。
「あらあら、仲が良いのねぇ」
嵐に言われて初めて智は慌てて凛月の手を振り払った。
凛月は嵐を睨んだ。
END
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月永レオ編
たった一度会っただけだった。
再会するまで忘れていた。
「凛月ちゃん」
悲しげな顔をしていたあの頃と違って愛らしい笑顔を見せる智。
(ああ、女の子なんだな)
そう凛月は思った。
「司くんと喧嘩しちゃった」
ションボリと話す智。
司とのことは、嵐から聞いていた。
現場は智の方が優勢だったらしい。
仲直りしたいと智は言う。
喧嘩の原因を凛月はしらない。
あんずによれば司も智と仲直りしたいらしい。
だから凛月はどうにかなるだろうと思った。
「ねえ智、膝枕して」
笑顔でそう言ったら智は怒って教室を出てしまった。
「凛月」
「凛月ちゃん」
真緒には呆れられ、嵐には怒られた。
ガーデンテラス。
いつものように寝ていた凛月は誰かが近付く気配を感じた。
「凛月ちゃん?」
控えめな智の声。
智はすぐそばに座った。
凛月は髪を触れられる感覚がした。
「わぁ、サラサラ」
昼間のことがあったのに、楽しそうな声。
くすぐたかったくて、笑いそうになるのを堪える。
「ごめんね、凛月ちゃん」
一変して悲しそうな声。
うっすら目を開けて智を見ると、あの時と同じ泣きそうな顔をしていた。
髪に触れている手をとれば、驚いた顔をした。
(泣かないで)
引き寄せて、抱き締めた。
歯があたったのは偶然だった。
後にそのことで、あんずから怒られた。
数日後。
2-B教室。
智に好きな人がいるらしい。
そんな噂が2年棟に流れていた。
「ねぇ、凛月ちゃんは誰だと思う?」
嵐が聞いた。
「……興味ない」
凛月は席を立ち、教室を出た。
何故か苛立ちがおきた。
智が誰を好きになろうと関係ない。
智が悲しい思いをしなければ、泣かないならそれで良い。
そう凛月は思っていた。
すると廊下の向こうから智が小走りできた。
「こんにちは、凛月ちゃん」
智は笑顔で挨拶する。
「こんにちは、智。……傷は、大丈夫?」
「う、うん」
智は首をおさえた。
「凛月ちゃん、衣更先輩は教室にいる?」
「いたよ。まーくんに用事?」
今、智を教室に行かせたくなかった。
「いない」と応えれば良かったと思った。
(矛盾してるな)
智に心を乱されてばかりな気がする。
きっと智本人は気づいてない。
「おいで、智」
凛月は智の手を優しくとって、来た道を引き返した。
智は抵抗したり、振り払ったりしなかった。
そのことが嬉しかった。
「あらあら、仲が良いのねぇ」
嵐に言われて初めて智は慌てて凛月の手を振り払った。
凛月は嵐を睨んだ。
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