出会い編
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しばらく沈黙が続いたが、それを破ったのはシャンクスだ。
この空気が耐えられないのだろう。
『ところで、俺たち腹が減ってるんだが何処かいい店はないか?』
『…ミラノさんの料理は美味しい。』
少女がシャンクスの問いに小さく答える。
『ミラノさんか。それはどこにある?』
『レイラ、よしなさい。ミラノさんに迷惑になる』
なんだ。
どうやら、よほど嫌われているらしい。
『悪いようにはしないさ。メシを食うだけだからな。』
『娘を助けてくれた恩があるとはいえ、海賊は信用するわけにはいかない。』
"おじさん"も1歩も譲らないようだ。
海賊を長くやってきて、この扱いには慣れているがさすがにもう空腹の限界だ。
『なら、ダンナ。こうしよう。俺達は店で本当にメシを食うだけだ。それに変わりはない。だが…』
『もし、俺達がその約束を破ることがあったのなら、その時は俺達をここから追い出してもらって構わない。』
『お頭!!!』
シャンクスは"おじさん"にそう条件をつけた。
自分たちの部下が無闇に乱暴な真似はしないと知っているからだ。
礼儀がない奴もいるのは事実だが、全くという訳では無い。
『ちょっ!お頭、よく考えろ!ログは1週間ないと貯まんないンだぜ?!』
『…あ。』
どうやらその事は頭になかったようだ。
『ど、どどどどーしよう?!みんな!!!』
『バカ野郎!言っちまったもんは仕方ねェだろ?!』
慌てるシャンクスに呆れるクルーたち。
シャンクスは時に大人びて陽気で明るく
それでいて優しい。
クルーたちはそんなシャンクスだからこそ今まで一緒に航海してきているのだが、
考えなしに行動してしまうことがあるのはクルーたちも心底どうにかして欲しいと思っていた。
だが、本当に考えなしなのか。
そうでないのかはシャンクス本人にしか分からないだろう。
何だかんだ言っても、問題を解決してしまうのはいつもシャンクスだ。
『…だが、それは暴れたらの話だ。お前ら店で暴れるのか?』
『そんなことはもちろんしねェが…』
本当に考えなしなのか。。
仲間を信じていたからこその発言なのか。
その真相は分からないだろう。
誰にも。
その様子を見ていた"おじさん"はひと息ついたあとに
『…いいでしょう。案内します。』
少なくともそこらの海賊とは違うと思った。
娘を助けた。
乱暴な事もする様子はない。
人助けをする、乱暴しない海賊をこの男は知らない。
でも、今日。
そんな海賊に出会った。
彼らは知っているのだ。
"強さ"の意味を。
『悪いな。お前ら、メシだ!』
シャンクスの声にお腹を空かせた海賊たちが、喜ぶ。
『…バカな人達』
そんな中、少女が呟いた言葉はその声と共にかき消された…はず。
だから、
誰も聞こえてなかったはずだった。
ただ、1人を除いて。
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