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雪待


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ドアを開けると
朝から降り続いていた雨は
雪へと変わっていた



疲れた体に
北風は容赦なく吹きつけ
懐炉代わりの缶コーヒーから
みるみる熱を奪っていく



漆黒の空を舞う結晶に
切なさが込み上げ
ぼんやりと浮かんだ彼の笑顔が
吐息と共に
白く、儚く消えていった



(寒い、逢いたい。)



傘で視界を遮るようにして
私は早足で歩き出す
まっすぐ、まっすぐ。



どんなに寒くても
足を止めるわけにはいかない
もし立ち止まってしまったら
もう一度、煌めく空を見てしまったら
私はきっと
泣いてしまうだろうと思った



(冷たい、逢いたい。)



感覚の無くなった手の甲に
雪が落ちては溶けていった





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