キロランケ。「…妬けるねえ。」
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「…いてっ、」
「もっと骨のある試合が見られるかと思ったのに。」
「そう言うなよ。俺は工兵なんだから…」
スチェンカでボロ負けした夜、ホテルのベッドの上でなまえがキロランケの傷に消毒液をかけていた。白石は逃げるのは上手かったが一撃で地面に伏せていたし、尾形は狙撃兵なので肉弾戦には不向きだ。その点でキロランケには多少期待をしていたのだが…。
「頬への一撃で撃沈とは…。杉元あたりなら或いは勝てたかもしれませんね。」
「…妬けるねえ。」
キロランケは、包帯を巻き終えた腕でなまえの腰を捕らえて引き寄せる。脚の間に挟み込む様に抱き締めながら、顎を肩へと乗せた。
「折角の二人っきりだってのに、他の男の話か?」
「ヤキモチですか。」
なまえはキロランケの腕の中で笑った。妻子あるこの男に心惹かれてから、キロランケは確信犯とも言える行動でなまえを翻弄してきた。どうせこの男の一番には成れないのだから、と半ば諦めていた気持ちを感じ取ると、こうして時折甘い言葉を囁いてはなまえの気持ちを引き戻していたのだ。
「…期待、しちゃいますよ?」
「していい。」
キロランケはなまえの首筋に鼻を埋めた。今まで、決定的な言葉は避けてきたのだが。勘違いして良いと言うことは、キロランケの心に入れたという事だろうか。
「でも、家族を捨てるつもりはないんでしょう?」
「ああ。愛しているからな。」
キロランケは家族を懐かしむ様に笑った。キロランケのしっとりとした吐息が首筋にかかり、なまえはキロランケの頭を慈しむ様に撫でた。
「貴方だから、」
「ん?」
「そんな貴方だから、惹かれたんです。」
なまえはキロランケの顔を窺い見る。ひたむきに家族を愛する貴方の温かさが大好きだ。酷く泣きそうな声色をしたなまえの身体を力一杯抱き締めたキロランケは、温かな声を出した。
「なまえ、」
「はい。」
「お前とも、家族になれると思っていてもいいか。」
キロランケの優しい声が響く。ちゅう、と肩口に吸い付かれながら、なまえは頭の中を整理した。
「えっと…。私、側に居ていいって事ですか?」
「ああ。」
「キロランケさんの事、好きでいていいんですか?」
「…家族は愛してるが、お前にも甘えてみたいだなんて、滑稽か?生活力のある男は、妾を持つことができるんだ。お前みたいな良い女が家で待ってるなんて考えたら、今の家族もなまえも、二倍も三倍も愛せそうだ。」
悪戯に笑ったキロランケの身体に、なまえは腕を回して抱きついた。どうせ一番には成れないと悲観してはいても、正直に言うと二番でも三番でも、貴方の側に居られるならなんだって良かったのだ。
「ずるい人。…私はずーっと、キロランケさんの事しか見ていなかったのに。」
「っ、熱いねえ。溶けちまいそうだ。」
キロランケは腕の力を緩めると、なまえの目が見える位置に顔を置いた。そのままゆっくりと顔を近付け、なまえのぷくりとした唇に噛み付く。口内を愛撫する様に舌を伸ばして歯列をなぞり、唾液を移し合うように深く口付けながら、キロランケは名前の由来でもある力強い下半身をなまえの腹へと擦り付けた。
「っ、!」
「なあ、早速甘えても良いか?」
グリグリと押される熱い塊になまえの手を添えさせ、「手、怪我してるからよ。シてくれるよな?」と甘い顔で懇願したキロランケに、赤い顔で頷いたなまえはゆっくりと指を絡めて滑らせた。
***
「〜っ、やべえ。もう腰が限界だ。」
「わ、私も…」
はぁはぁと熱い息を吐き出しながら、キロランケがなまえの隣に沈む。なんだかんだ結局、キロランケの熱い塊に翻弄されてしまった。なまえは腹の中に幾度と無く吐き出された欲望が漏れない様にとキツく合わせていた太腿から力を抜く。震える身体でベッド横から塵紙を数枚手に取ると、流れ出てくる白濁液を押さえるように股へとあてがった。
「デキちまうかもな。」
「お風呂で掻き出してきましょうか。」
「そうじゃねえよ。構わねえから仕舞っとけ。」
キロランケは笑いながら髪の隙間から漏れた白濁を指で掬い、なまえの膣へと押し戻した。その手をゆっくりと腹の上へと滑らせ、愛でるように撫でるキロランケに「まだ懐胎してませんよ。」となまえは笑った。全てが終わって北海道に帰ったら、キロランケの家族になれるのだ。キロランケの妻は寛大そうだし、仲良く出来たらいいな、となまえは考えながら、キロランケの逞しい腕に抱かれて眠りについた。
翌日。
傷の手当てをとお盆に薬草を乗せたアシリパが、キロランケの部屋の扉を叩こうとするのを必死に止める白石の姿が尾形によって目撃されていた。長い片思いに終止符を打ったなまえは、あともう少し、とキロランケの胸に擦り寄りながら、再び微睡の中へと落ちて行くのだった。
***
相互リンクの皐月様から頂きました。
キロランケの素敵な夢をありがとうございました。
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