最愛
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「その件だが、提案がある。仲谷のことは諦めて、借金から解放されないか?」
「……!?」
「彼女が地下の接待係として10年ほど働けば、今のカイジくんの借金の分くらいは稼げる。」
(さっきの兵藤会長の「安心するのはまだ早い」はそういう意味だったの…?)
カイジにそんな提案をするなんて。
でも、よく考えたらカイジの借金は約1000万。
逆立ちしたって返せる額じゃない。
返せなければ、カイジはずっと帝愛に苦しめられ続けるんだ…。
ならいっそ、私が…!
「会長!それは、私が異動を受ければ、カイジの借金は白紙にして頂ける…という意味でしょうか…?」
「ひひっ…理解が早くて宜しい。」
「私は…「断る!!!」
私の言葉を遮ったのは―――カイジ。
「ふざけるなっ!衣織にそんなことはさせない!」
「でもカイジっ…!」
どうやって借金を返すつもりなの?
「金ならオレが返す!オレだ!衣織をこれ以上巻き込むな!」
カイジは兵藤会長にそう怒鳴った後、私に向かって叫んだ。
「お前もいい加減にしろよっ…!」
「え…?」
「いつもいつもオレのために、自分を犠牲にしようとするなっ…!」
カイジはそう言ってボロボロと涙を流した。
そっか。
私、カイジのためなら自分がどうなってもいいって思ってた。
でもそれって、私を大事に想ってくれるカイジの気持ちを裏切ってしまってたんだね。
「カイジ、泣かないで!分かったから。もう自分がどうなってもいいなんて言わないから。」
泣かないで、なんて言いながら、私も泣いてしまった。
カイジの気持ちがまたひとつ、分かったみたいで嬉しくて。
「ククク…折角のチャンスを無駄にするとは。カイジくんが後悔する日が楽しみだな。」
兵藤はそう言い残し、黒服を連れて去っていった。
* * * * * * *
帰り道。
カイジと2人、並んで手をつないで歩く。
離れていたのは数日だったけれど、なんだかとても長く感じた。
だから、今こうして一緒にいられることがすごく幸せなんだ。
「あのさ、さっきは怒鳴ったりして…ごめん。」
カイジがポツリと呟いた。
「衣織がオレのために自分を犠牲にしようとするのは、オレが情けないからだよな。」
「ううん、そんなことないよ。」
衣織は優しく微笑んで、カイジの手を少し強く握った。
「それに、カイジが私のことすごく大事にしてくれてるんだなぁって、嬉しかったの。」
「そっか…。なぁ衣織、オレ頑張るから。もうお前に無茶させなくていいように、頑張るよ。」
そう言うと、カイジも衣織の手を強く握り返した。
その温もりが嬉しくて、また涙がこみ上げてくる。
「私の方こそ、ごめんね?カイジをまたギャンブルに巻き込んじゃって…。」
「衣織のせいじゃねぇよ。それに、オレが戦ってる間、ずっと応援してくれてただろ?賞品なんて酷い立場なのに、衣織はオレのことを考えてくれてた。」
あぁ、私の気持ちはちゃんと伝わってたんだね。
カイジと離れて寂しい思いもした。
ギャンブルの商品にもされた。
でも、今回も2人で乗り越えたから、絆はまた深まったよね。
Fin.
→お礼