誰の弟?
「おもっきし一般わんこじゃん?」
人とは違う耳が生えていようが、この世界では珍しくない。何しろ、獣人しか住んでいない都市もあるくらいなのだから。
そんなわけで、誰に似ているわけでもないぞとマリオは怪訝そうな顔をしてみせる。
「……迷子、かぁ」
「髪の色ならルーティと被るけど」
「あー」
マリオとルイージは共にびくっと肩を大袈裟に跳ねさせて。……どうやら知らぬ間に距離を詰めて話を聞いていたらしい。
「なぁんだ。ルーティがいるってことはマジでX部隊だったんだ」
「疑っとったんかい!」
「いやてっきり新手の悪徳勧誘商法かと」
「詐欺師かい!」
連続ツッコミ。ぜえぜえと呼吸を弾ませているマリオに構うことなく、
「じゃあさ」
少年は口元に笑みを浮かべると。
「頼みがあるんだよね――」