誰の弟?
命中。熊は後方によろめいたかと思うと、鳴きながら早々に逃げていってしまい。
マリオは華麗に地面に着地すると、ハリセンを懐に仕舞いつつ立ち上がり、その場に突っ立ったままの少年を睨み付けて。
「看板!」
マリオは大きく息を吸ってから声を上げ、ここより少し前に設置されている、『この先危険区域。一般人は立ち入るべからず』と書かれた、黄色の看板を指差して。
「見えなかったのか!」
「みたいだな」
「そうか。……じゃなくて、何処見てほっつき歩いてんだ!」
「兄さん、それチンピラ」
腕を組み、そういえばあったなと冷静に返す少年に怒鳴り付けるマリオだったが、相手は子供だからとルイージが宥めて。
「……ああもう」
今日は厄日だ、とマリオは思う。
ルイージの言い分も一理あるので、マリオは咳払いをすると少年を見つめて。
「何か言うことは?」