誰の弟?
「お前なぁ……」
話を逸らそうとしたってそうはいかないぞ! とばかりに懐に隠し持っている愛用のハリセンに手を添えるが、念の為、ルイージが指差す方向に注目。
――そこには一人の少年が歩いていて。
「一人……珍しいな」
「兄さん、確かあの先って」
マリオはばっとルイージを見遣り、
「危険区域じゃねえか!」
「だっだよね!」
二人は顔を見合わせると、急いで少年の後を追いかける。その時、少年のすぐ傍の茂みががさがさと蠢き、そして。
「……ぉ」
その茂みから大きな熊が現れたのだ。
気付き、立ち止まってはその熊を見上げる少年。小さく舌打ちをして、マリオは懐からハリセンを取り出すと。
「どっ」
地面を蹴って飛び上がり、
「けぇえええ!」
声を上げながら接近。振り翳したハリセンを、熊目掛けて思い切り振り下ろす。