ルーティ危機一髪!?
……というわけで。
僕は今レイアーゼ中央司令塔に来ています。
よくある入れ替わりネタとは一概に言ってもこのパターンはあまりにも想定外。原因が知れているのなら大乱闘を繰り返していればいずれ元に戻れるものだと思ってたのにまさかこんなことに──かといってロックマンのことは恨めない。彼が他よりずば抜けて優秀過ぎるが故に比較的多忙だというのは紛れもない事実なわけだし。
「し、失礼します……」
三階にある会議室の扉を控えめに叩いて開けばお偉方の視線が刺さる刺さる。X部隊ほど司令塔の人間と関わらない部隊もないだろう──もはや生存確認の域で会っていないような人たちである。あはは、ご存命でしたか。
「遅かったじゃないか」
「ロックマン君は多忙だからね」
「今季も立派に役目を務めているな!」
結構結構と快活に笑う声に便乗するようにして誰もが笑い出し室内の空気が賑やかに彩る。この何ともコメントしづらい中を普段ロックマンはどうやって乗り切っているのか。
「はは……」
外見はロックマンでも中身は残念ながらあのルーティ・フォンである。上手い言葉が見つかるはずもなく苦笑いを浮かべながらそそくさと空いていた席に着けば空気はがらりと変わって早速問題の会議が始まった。解放されても今度十時からは第四正義部隊フォーエス部隊との定例会議があるというのだから何とも先が思いやられる……
「──ロックマン君」
急に言い当てられて肩を跳ねる。
「この件についてどう思う?」
全然聞いてなかった!
「あ、……あはは……ええっと……」
分かりやすく狼狽えてしまいながら視線を彼方此方彷徨わせた後でハッと気付いたように固く瞼を瞑りながら首を横に振る。──下手な発言をしてロックマンの株を下げるわけにはいかない!
「せ……正義の方針に倣うのなら強硬手段も致し方のないことかと……」
思われます、なんて小声で繋げば。
「君ならそう言ってくれると思っていたよ」
普段のロックマンって一体。