ルーティ危機一髪!?
正面の黒煙を突き破って現れたその影は水飛沫を上げながら目にも留まらぬ速さでダークフォックスとダークファルコの構えた銃の先端を斬り落とした。一瞬にして廃棄物と化したそれでは戦えるはずもないが何せ彼らはダークシャドウ。ダークフォックスもダークファルコも紅色の閃光を引きながら振り向くと双方の間を潜り抜けようとしたその影を脚や腕を薙ぎ払い捉えようとした。けれど影はそれを上回る瞬発力で回避すると真っ直ぐスピカとルーティの元へ。
「、ミカゲ」
その正体を目視したルーティが静かに呼んだ。
「卑劣な悪どもがオレらに敵うと思うなよ」
阻む黒煙の向こう側で苛立ちを込めた口振りで話すのはパックマン。その傍らには魔導書を構えたルフレとマークの他にもフォーエス部隊の面々がずらりと──まさしく絶望的な盤面である。
「水タイプの癖に」
スピカは肌の表面に黒い閃光を跳ねて。
「相手を間違えるなよ!」
駄目だ。……駄目なんだよ。
こんな場所で。
騒ぎなんか起こしたら。
「だっ」
ルーティは思わず叫んだ。
「駄目だってばぁああっ!」
やがて。
音は途絶えて静まり返る。
「やったか?」
なんて誰かが言ったがそんなものは。
「フラグっしょ」
パックマンは眉を寄せると。
程なく晴れた黒煙の向こう側を見た。