ルーティ危機一髪!?
ったく。言い訳なんざみっともねえ──
ダークウルフの後ろでロングジャケットのポケットに手を突っ込みながら呆れた顔でダークフォックスを見つめていたスピカは突然名前を呼ばれてぎくりと肩を跳ねた。途端に寒気を覚えて、
「き、急に名前を呼ぶなっ、気色悪い!」
「僕だよ、ルーティだよ!」
間髪入れずにそんなことを言い出すものだから、
「……はぁ?」
訝しげに眉を寄せてこの顔。
「ほらぁ」
ダークフォックスは無罪を主張する。
「コイツさっきからおかしいんだって」
「おかしいも何も」
ダークファルコは呆れたように、
「気を衒ったように見せて此方を撹乱させようとしているだけでしょう。何処からどう見ても正義部隊を取り仕切るその隊長ですよ」
それはそう。奴らにはダークシャドウと同じ影虫を操って化ける能力があるわけでもなければそういう技術を開発させているという話も耳に入れちゃいない──スピカは不快そうに顔を顰めながら接近すると屈み込んで視線を合わせながら。
「俺のダチ使って取り入ろうなんざ趣味の悪い浅知恵使うじゃねえか」
「違っ……ほ、本当だってば!」
随分と往生際が悪い。
「んなに言うなら証拠見せてみろよ」
「……証拠」
すると。
その人は手招きをして耳打ち。
「、えっと……」